CHEMOTHERAPY
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悪性腫瘍患者に併発した帯状痕疹に対するVidarabine (Ara-A) の二重盲検比較試験成績
久木田 淳太田 和雄佐久間 昭仁井谷 久暢新村 眞人古江 尚
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1985 年 33 巻 1 号 p. 53-73

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抄録

悪性腫瘍に併発した帯状庖疹に対し, Ara-Aの有効性, 安全性および有用性を検討する目的でAra-A高投与量群と低投与量群の比較による二重盲検試験を実施した。なお, 投与量はAra-Aの有効量と考えられる1日300mg (Ara-A高投与量群) に対し, その1/6量である50mgを低投与量群とし, 用量・反応関係をみることとした。
Ara-A高投与量群は低投与量群に比較して, 皮疹改善度は投与終了後翌日, 3および7日目において改善した症例が多かった。神経症状も含めた全般改善度では投与終了後翌日よりAra-A高投与量群は低投与量群に比べ, 早期改善傾向が認められ, さらに試験薬剤投与終了後7, 14, および21日目ではAra-A高投与量群は低投与量群に比べ, 有意に改善した。安全度はAra-A高投与量群と低投与量群との間で差は認められなかった。有用度はAra-A高投与量群が低投与量群より有意に優れていた。
以上のことより, Ara-A (300mg/day, 5日間投与) は, 悪性腫瘍患者に併発した帯状疱疹に対する原因療法として有用な薬剤であると考えられた。
また, Ara-Aは帯状疱疹の発症後早期に投与を開始することが適切であると考えられる。

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© 社団法人日本化学療法学会
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