CHEMOTHERAPY
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Tioconazoleのin vitroならびにin vivo抗菌活性の特徴
山口 英世平谷 民雄永田 淳子内田 勝久
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1986 年 34 巻 2 号 p. 146-156

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抄録

新規イミダゾール系抗真菌剤tioconazole (TCZ) の外用剤は白癬その他の表在性皮膚真菌症に対して優れた治療効果を発揮することが知られている。この理由を説明するために, 本剤のin vitro抗菌活性, 特に殺菌的効果ならびにモルモットの白癬モデルにおけるクリーム剤の治療効果についてmiconazole nitrate (MCZ) およびclotrimazole (CTZ) と比較検討を行ない, 以下の成績を得た。
(1) candida albicans2株の増殖期培養に添加した場合, TCZは20μg/ml以上の濃度で強力な殺菌効果を示し, その程度および発現の迅速さのいずれの点でも, MCZおよびCTZの効果を上回っていた。Trichophyton mentagrophytes 2株の分生子に対しては発芽およびそれに続く菌糸発育を起こさない条件下で, TCZはC. albicansにおける場合よりも低濃度で有意な殺菌的効果を示した。本菌においてもTCZはMCZおよびCTZに勝る強力な殺菌的効果を発現した。このようなTCZのin vitro抗菌活性および殺菌的効果は, MCZと比べて培地pHによる影響が軽微であった。
(2) モルモットの白癬モデルにおいてTCZのクリーム剤は, 局所病変度, 培養陽性率, およびキチン含量のいずれを指標として判定した場合にも, 明らかな治療効果を示した。この効果はTCZ 0.2%クリーム剤よりも1%クリーム剤が有意に勝っていた。またTCZ1%クリーム剤を同一基剤を用いて調製したMCZおよびCTZの対応する濃度のクリーム剤と比較すると, 最終的な治療効果の点では3剤間で有意差は認められなかったが, 治療効果が発現する迅速さの点ではTCZが最も優れていた。

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© 社団法人日本化学療法学会
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