CHEMOTHERAPY
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各種セフェム系抗生物質のモルモット新鮮血清との協力的殺菌作用
浅野 泰司横田 健
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1986 年 34 巻 6 号 p. 481-487

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抄録

種々のセフェム系抗生物質を用いて, モルモット新鮮血清存在下での大腸菌に対する協力的殺菌作用を, 24時間培養後の生菌数を指標として比較検討した。その結果, Escherichia coli NIHJ JC-2では, 1%血清存在下でCBPZは1/4MIC, CMZ, CMXおよびCZXは1/2MICで協力的殺菌作用を示したが, CTX, LMOX, CTZ, CPZおよびCTTは1/2MICで菌の再増殖が認められだ。次に, CBPZおよびCTXを用いてMIC以下の濃度 (sub-MICs) で, 時間を変えてE. coli NIHJ JC-2を前処理し血清に対する感受性を検討した結果, 2時間の前処理により, 明らかな感受性の亢進が認められ, その効果はCBPZがより優れていた。一方, モルモット新鮮血清に対し耐性を示すE. coli KC-14では, 10%血清存在下でCBPZは1/4MIC, CTXは1/2MICで協力的殺菌作用を示したが, CPZは1/2MICで菌の再増殖が認められた。次に, CBPZを用いてsub-MICsでE. coli KC-14を時間を変えて前処理し, 菌体の補体活性化能を検討した結果, 2時間の前処理により, 明らかに補体の消費量が増加した。また, 非働化血清によっては以上の薬物との協力的殺菌作眉が消失することから補体の関与が考えられた。

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