CHEMOTHERAPY
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34 巻, 6 号
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  • 浅野 泰司, 横田 健
    1986 年 34 巻 6 号 p. 481-487
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    種々のセフェム系抗生物質を用いて, モルモット新鮮血清存在下での大腸菌に対する協力的殺菌作用を, 24時間培養後の生菌数を指標として比較検討した。その結果, Escherichia coli NIHJ JC-2では, 1%血清存在下でCBPZは1/4MIC, CMZ, CMXおよびCZXは1/2MICで協力的殺菌作用を示したが, CTX, LMOX, CTZ, CPZおよびCTTは1/2MICで菌の再増殖が認められだ。次に, CBPZおよびCTXを用いてMIC以下の濃度 (sub-MICs) で, 時間を変えてE. coli NIHJ JC-2を前処理し血清に対する感受性を検討した結果, 2時間の前処理により, 明らかな感受性の亢進が認められ, その効果はCBPZがより優れていた。一方, モルモット新鮮血清に対し耐性を示すE. coli KC-14では, 10%血清存在下でCBPZは1/4MIC, CTXは1/2MICで協力的殺菌作用を示したが, CPZは1/2MICで菌の再増殖が認められた。次に, CBPZを用いてsub-MICsでE. coli KC-14を時間を変えて前処理し, 菌体の補体活性化能を検討した結果, 2時間の前処理により, 明らかに補体の消費量が増加した。また, 非働化血清によっては以上の薬物との協力的殺菌作眉が消失することから補体の関与が考えられた。
  • 鈴木 富士夫, 麻生 久, 小林 弘行, 大西 勉, 石田 名香雄
    1986 年 34 巻 6 号 p. 488-494
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Carboxyethylgemanium sesquioxide (Ge-132) のウイルス感染症に対する影響をマウスのインフルエンザ感染モデルを用いて検討した。10LD50量のインフルエンザを感染させたマウスに100mg/kg量のGe-132を経口的に頻回投与すると, 生理食塩水投与の対照群に比べ, 1) 生存率の上昇, 2) 肺内ウイルスの増殖抑制, 3) 肺内コンソリデーションの出現抑制, 4) HAI抗体価の上昇抑制などが認められ, 本化合物の感染防御効果が明らかとなった。この有効性は予防的投与では発現されず, ウイルス感染前後および直後からの予防・治療的あるいは治療的投与で顕著であった。また100mg/kgのip, sc, およびimなどの投与で, あるいは33~300mg/kgの経口投与でGe-132の抗ウイルス効果が確認されたが, 経口的に100mg/kg量を頻回投与するのが最も有効であった。Ge-132はin vitroでウイルス粒子やその感染細胞に直接的な影響を及ぼさないので, in vivoにおけるこのような効果は, 宿主の防御機能を介して発現されるものと思われる。因みにGe-132がinterferon-γを誘起したり, natural killer細胞の活性を亢進させることはすでに確かめられている。
  • 金子 晴生, 梅田 正法, 塚原 敏弘, 笠井 一弘, 大野 章, 宮崎 修一, 小川 正俊
    1986 年 34 巻 6 号 p. 495-503
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    抗腫瘍剤投与により著明な顆粒球減少をきたした易感染性宿主は, しばしば難治性感染症を誘発する。この種の症例に対しては抗菌薬と顆粒球輸血の併用治療が行なわれている。この併用治療の有用性を基礎的に評価する目的で, 難治性となり易い緑膿菌による実験感染モデルを用いて検討した。
    Cyclophosphamide処理により白血球数500/mm3に低下した顆粒球減少マウスに緑膿菌を腹腔内に接種し, 感染1時間後に顆粒球 (1×107 cells/mouse, 1×105cells/mousei.v.) あるいは抗緑膿菌薬 (cefoperazone 40mg/mouse, ceftazidime 20mg/mouse, cefsulodin 20mg/mouse, gentamicin 0.75mg/mouse s.c.) を投与し, それぞれ単独および併用による有効性をマウスの生残率より比較した。
    顆粒球 (1×107cells/mouse) 静注単独治療では, 顆粒球に食殺菌されやすいP.aeruginosa IFO3445株感染 (100LD50) に対し, 20%の生残率が得られたが, 食殺菌に抵抗するP. aeruginosaE7株感染 (100LD50) は生残効果が認められなかった。また抗菌薬単独投与ではP. aeruginosaIFO3445感染に対し, cefoperazone 0%, ceftazidime20%, cefsulodin40%, gentamicin 60%の生残率を示し, P. aeruginosaE7感染では, cefoperazone 0%, 他剤20%の生残率であった。しかし顆粒球静注と各抗菌薬の併用により, 両菌株感染とも生残率の著明な上昇がみられた。このうち抗菌薬単独治療効果の良い程併用効果が強く認められた。
    本実験により顆粒球減少にともなう緑膿菌感染において, 顆粒球静注と抗緑膿菌薬の併用効果を実証し得た。
  • 今朝洞 忠孝, 渡辺 邦友, 朝日 良成, 宮内 正幸, 上野 一恵, 西浦 常雄
    1986 年 34 巻 6 号 p. 504-510
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    健康な志願者男子4名に, 新規carbapenem系抗生物質imipenem/cilastatin sodium (MK-0787/MK-0791) を1回500mg/500mg, 1日2回, 5日間連続静脈内投与し, その際の腸内細菌叢に対する影響を糞便中の構成細菌を検索することにより検討した。
    対象4例とも薬剤投与期間中および投与終了翌日に好気性菌群および嫌気性菌群共に総菌数および腸内の主要細菌叢構成菌群であるEnterobacteriaceaeおよびBacteroidaceaeにおいてわずかに減少傾向が認められた。しかし, これらの変化は投与終了後速やかに回復した。対象とした4例中の2例より薬剤投与期間中あるいは投与終了後に, D-I毒素生産性のClostridium difficileがご池が分離されたが, その糞便中の菌数は1×102~3×103CFU/gとわずかであった。
    本実験期間中には軟便・下痢の発生はみられなかった。また, 採取したいずれの検体からもimipenemは検出されなかった。
  • 伊藤 邦彦, 早崎 源基, 野田 克己, 小池 茂文, 松本 興治
    1986 年 34 巻 6 号 p. 511-521
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    今回私たちが検討を行なったCMXは3位にチオメチルテトラゾール基を有するため, ピタミンKの異常消費によるビタミンK依存性の凝固因子の欠乏を来し, 凝固時間の延長が予想された。
    結果は, 第2群においてPT, TTが軽微で正常範囲内ではあるが有意に延長しており, HPTは有意な変化が認められなかった。第3群ではPT, TT, HPT, いずれも有意な変化が認められなかった。これらの所見, すなわちCMX投与により, PT, TTの延長があり, しかもそれがビタミンK2投与により防止できることから, ビタミンK依存性の凝固因子との関連が強く疑われた。しかし今回は, ビタミンK依存性凝固因子の定量についてはプロトロンビンについてのみ行なったが, これには有意な減少はみられず, 他のVII, IX, X因子のいずれかが有意に減少するのか, あるいは各因子の少しずつの抑制の総和として現われてくるものかは不明であった。第2群でPT, TTの延長がみられHPTの延長がみられなかったことから, 今回は測定しなかったがPIVKAの出現を疑わせる結果となった。
    一方, 血小板凝集能に対しては, 第2群, 第3群で出血時間が有意に延長していたが, ADP, コラーゲン, エピネフリンによる血小板凝集試験ではいずれも有意の差は認められず, トロンボエラストグラムのr値, ma値にも血小板機能の抑制を疑わせる変動はなかった。出血時間の延長は, いずれも正常範囲内に止まり, またDUKE法を採用したため手技的影響も考えられ, 臨床的に通常の投与量では血小板に対する影響は特にないものと思われた。
    今回の検討ではトロンボエラストグラム, 血小板数, フィブリノーゲンで出血傾向とは逆, つまり凝固亢進の結果が認められたが, これらはいずれも手術例を対象としたため, 手術の影響と思われた。
    以上のことから, CMXは検査値としては血液凝固時間に若干の影響を与えるが軽微であり, 臨床上, 出血傾向として特に問題となる程度ではないと考えられた。また, ビタミンK2併用は1回の投与のみでも凝固時間のわずかな変動をも防止するものと考えられた。
    臨床上本剤を用いる場合, ビタミンKの欠乏が考えられないような全身状態の良好な場合は, 1日491週間程度の投与には特に問題はないと思われた。一方, 経口摂取の不良な患者, 高齢者など, 全身状態の悪い患者では, 安全のためにビタミンKの併用を考慮すべきものと考えられた
  • 宇野 勝次, 山作 房之輔
    1986 年 34 巻 6 号 p. 522-529
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Delayed type hypersensitivity (DTH) の成立を証明するLeucocyte migration inhibition test (LMIT) を臨床的に応用することにより, 抗菌剤によるアレルギー患者の起因薬剤の同定を行なった。水に不溶性の抗菌剤の抗原調製では3種類の溶媒 (0.1Mリン酸溶液, 0.1M水酸化ナトリウム溶液, Propylene glycol) を用いて溶解した。抗原液は薬剤のsubtoxicな濃度とし, carrierとして等量の患者血清を加えて多価抗原とした。抗菌剤によるアレルギー疑診患者61例に対してLMITを行なった結果, 41例 (67%) にLMIT陽性薬剤を検出した。症状別では薬疹の疑診患者51例中33例 (65%) にLMIT陽性を示し, Drug feverの疑診患者15例中14例 (93%) にLMIT陽性を示し, 薬剤性肝障害の疑診患者9例中8例 (89%) にLMIT陽性を示し, Ana-phylactic shock1例はLMIT陰性を示した。この結果から, 抗菌剤による薬疹, Drug fever, 薬剤性肝障害においてDTHの関与が非常に大きく, 起因薬剤の検出にLMITは有効と考えられる。50代から70代の女性がLMIT陽性患者全体の41%を占め, 抗菌剤によるアレルギー患者は女性の高年齢者に多い傾向を示した。β-Lactam剤はLMIT陽性の抗菌剤全体の69%を占め, DTHにおいて免疫原性の強い薬剤であることを示した。
  • 鎌田 日出男, 下村 隆之, 姫井 成
    1986 年 34 巻 6 号 p. 530-535
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    Cefoperazone 1.0gを点滴静注投与し, 血清および尿路性器組織内濃度を測定し以下の結果を得た。
    1) 血清濃度は90分値55.3±20.0μg/mlで, 以後漸減し150分値32.3±15.5μg/mlであった。
    2) 腎組織濃度は6検体で検討した。CPZ投与120分から240分後に組織採取し測定したが, 腎組織内濃度は2.4~142.1μg/gで平均37.7μg/gであった。
    3) 前立腺肥大症組織内濃度はCPZ投与60分から180分後で4.9~23.9μg/g, 精巣組織内濃度は12.8~30.0μg/g, 尿道小阜組織内濃度は0.9~39.8μg/gであった。
    CPZの尿路性器組織への移行は良好で, その強い抗菌力と相まって尿路性器感染症の治療に有用性の高い薬剤であると思われた。
  • 河田 幸道他
    1986 年 34 巻 6 号 p. 536-560
    発行日: 1986/06/25
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたカルバペネム系抗生物質MK-0787と, 腎のdehydropeptidaseの阻害剤であるMK-0791の1:1の配合剤 (以下MK) の, 複雑性尿路感染症に対する有用性を客観的に評価する目的で, cefoperazone (CPZ) を対照としたwell controlled studyを行なった。MKは1回1g (MK-0787として0.5g), CPZも1回1gをいずれも1日2回, 点滴静注により5日間投与した後, UTI薬効評価基準により臨床効果を判定したが, 両群の背景因子には差を認めなかった。
    総合有効率はMK投与群の108例で74.1%と, CPZ投与群の115例中55.7%に比べ有意に高く, UTI疾患病態群毎の比較では, 第2群と第6群においてMKの臨床効果が有 意に高かった。また細菌消失率も, MK投与群では160株中86.9%と, CPZ投与群における174株中74.1%より有意に高く, 菌種別にはS. aureus, C. freundii の消失率がMK投与群において有意に高かった。
    投与後出現細菌はMK投与群では29例 (26.9%) から36株, CPZ投与群では36例 (31.3%) から47株が分離されたが, 出現頻度, 分離菌種の内訳は両群間に差を認めなかった。副作用はMK投与群に1例 (0.7%), CPZ投与群に3例 (2.1%) 認められ, また臨床検査値の異常はMK投与群に10例 (17件), CPZ投与群に15例 (31件) 認められたが, 両群間に差はなかった。
    これらの成績から, MKは複雑性尿路感染症の治療に際して有用性の高い薬剤であると考えられた。
  • 1986 年 34 巻 6 号 p. 568
    発行日: 1986年
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
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