CHEMOTHERAPY
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実験的顆粒球減少症マウスの緑膿菌感染に対する抗菌薬と顆粒球静注の併用効果
金子 晴生梅田 正法塚原 敏弘笠井 一弘大野 章宮崎 修一小川 正俊
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1986 年 34 巻 6 号 p. 495-503

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抄録

抗腫瘍剤投与により著明な顆粒球減少をきたした易感染性宿主は, しばしば難治性感染症を誘発する。この種の症例に対しては抗菌薬と顆粒球輸血の併用治療が行なわれている。この併用治療の有用性を基礎的に評価する目的で, 難治性となり易い緑膿菌による実験感染モデルを用いて検討した。
Cyclophosphamide処理により白血球数500/mm3に低下した顆粒球減少マウスに緑膿菌を腹腔内に接種し, 感染1時間後に顆粒球 (1×107 cells/mouse, 1×105cells/mousei.v.) あるいは抗緑膿菌薬 (cefoperazone 40mg/mouse, ceftazidime 20mg/mouse, cefsulodin 20mg/mouse, gentamicin 0.75mg/mouse s.c.) を投与し, それぞれ単独および併用による有効性をマウスの生残率より比較した。
顆粒球 (1×107cells/mouse) 静注単独治療では, 顆粒球に食殺菌されやすいP.aeruginosa IFO3445株感染 (100LD50) に対し, 20%の生残率が得られたが, 食殺菌に抵抗するP. aeruginosaE7株感染 (100LD50) は生残効果が認められなかった。また抗菌薬単独投与ではP. aeruginosaIFO3445感染に対し, cefoperazone 0%, ceftazidime20%, cefsulodin40%, gentamicin 60%の生残率を示し, P. aeruginosaE7感染では, cefoperazone 0%, 他剤20%の生残率であった。しかし顆粒球静注と各抗菌薬の併用により, 両菌株感染とも生残率の著明な上昇がみられた。このうち抗菌薬単独治療効果の良い程併用効果が強く認められた。
本実験により顆粒球減少にともなう緑膿菌感染において, 顆粒球静注と抗緑膿菌薬の併用効果を実証し得た。

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