CHEMOTHERAPY
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14C-L-105のラットにおける体内動態
山下 憲昭水村 光男井之川 芳之武井 啓司前田 正敏
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1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 119-132

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抄録

ラットにL-105の14C標識体 (14C-L-105) を単回あるいは10回反復静脈内投与し, 体内動態について検討した。
1) 単回静脈内投与による最高血液中, 血漿中濃度は20mg/kgおよび100mg/kg投与とも投与5分後に得られ, 以後漸減した。組織内濃度は雌雄共通組織において性別, 投与量で分布ハターンに大きな差は認められなかった。
2) 反復投与時の血液中濃度は初回投与30分後と最終投与30分後で同じであった。10回投与後の血液中濃度推移は単回投与と同様であった。
組織内濃度は5回および10回投与30分後で大きな差がなく, 10回投与後の組織内濃度推移は腎でやや遅れる傾向にあったものの, 単回投与時と同様速やかな低下を示した。
3) 単回投与後の放射能は尿中へ15~30%が排泄され, 残りは胆汁を介して糞中へ排泄された。呼気中への排泄は認められず, 尿, 糞中排泄の合計は投与96時間後までに約97%に達した。反復投与時の尿, 糞中排泄率は6回投与以降平衡に達し, 排泄の遅延は認められなかった。
4) 14GL405の血球移行性はほとんど認められず, 単回投与時の血漿蛋白結合率は88~96%であった。
5) 放射能の乳汁中への移行は少なく, 乳汁中放射能濃度は最高でも1.8μg eq./mlと低かった。

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© 社団法人日本化学療法学会
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