CHEMOTHERAPY
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複雑性尿路感染症に対するL-105の基礎的・臨床的検討
水野 全裕那須 良次岸 幹雄公文 裕巳大森 弘之近藤 捷嘉近藤 淳難波 克一赤枝 輝明
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1986 年 34 巻 Supplement3 号 p. 486-497

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抄録

複雑性尿路感染症に対するL-105の有用性を基礎的ならびに臨床的に検討した。
1) 抗菌力: 尿路感染症由来の教室保存株12菌種, 196株に対する本剤の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, 同系薬剤であるlatamoxef (LMOX), cefmenoxime (CMX), cefbpcrazone (CPZ) と比較検討した。E. faecalis, P. aeruginosaではMICが100μg/ml以上の耐性株が多数を占めていたが, E. coli, K. pneumoniae, P. mirabilisの80%MICはそれぞれ0.20, 0.39, 0.39μg/mlと良好な成績であった。他剤との比較ではグラム陽性菌では, S. epidermidermidisに対して他の3剤に比べ優れており, グラム陰性菌では全般的にLMOXとほぼ同程度の抗菌力を示していた。
2) 臨床効果: 複雑性尿路感染症24例に対して本剤を使用した。投与スケジュールは原則として1回1g, 1日2回, 5日間のone shot静注とした。UTI評億基準に基づいた判定では著効4例, 有効6例, 無効11例で, 有効率は47.6% (10/21) であった。自他覚的副作用は全例に認めず, 臨床検査値の異常変動は白血球減少を1例に認めたが, 軽度かつ一過性で臨床上問題となるものではなかった。

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© 社団法人日本化学療法学会
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