CHEMOTHERAPY
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Carumonamの臨床第一相試験
山本 俊夫足立 幸彦諏訪 雅男長峯 保郎榎本 雅一井上 博司南野 達夫大場 康寛中村 允人
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1987 年 35 巻 Supplement2 号 p. 216-233

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抄録

健康成人男子志願者27名を対象に, carumonam (CRMN) の臨床第一相試験を行った。
試験は500mg点滴静注の単回投与から開始し, 1,000mgの点滴静注, 筋注, 静注, 2,000mgの点滴静注の各単回投与を行った後, 2,000mgの1日2回宛, 2回 (1日) ~11回 (6日) の静注投与を行った。
1) 2,000mgの5回静注試験で, 3例中1例が初回投与時のみ嘔気を訴えた以外は自・他覚症状, 理学的検査に本剤に起因すると思われる変化は認められなかった。
2) 2,000mgの11回静注試験において6例中1例で血清GPTの軽度上昇が認められた以外は, 臨床検査に本剤に起因すると思われる変化は認められなかった。
3) 11回静注試験において腸内細菌叢に及ぼす影響を検討した。好気性菌では腸内細菌科に属する細菌の減少と腸球菌の増加が認められたが, 嫌気性菌では特記すべき変化は認められなかった。また, Clostridium difficileも検出されなかった。
4) 単回静脈内投与時の血中濃度半減期は1.4~1.6時間であり, 筋注後は0.7時間で最高血中濃度に達し, その後2.0時間の半減期で血中から消失した。単回投与後の24時間尿中排泄率は63~76%で, その大部分が投与後7.5時間以内に主として未変化体として排泄された。11回静注試験における初回および最終投与時の血中濃度半減期は各々1.5および1.4時間であり, 連続投与による影響は認められなかった。
5) 尿中に抗菌活性陽性の代謝物は検出されなかったが, 抗菌活性陰性のβ-ラクタム環開環代謝物が少量検出された。
以上の安全性および薬物動態についての検討成績からcarumonamは今後さらに, 臨床評価を行うに値するものと考えられた。

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