CHEMOTHERAPY
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外科領域におけるCarumonamの基礎的・臨床的検討
由良 二郎品川 長夫石川 周水野 章河辺 章夫柴田 純孝渡辺 晋伊藤 忠夫吉見 治鈴木 一也
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1987 年 35 巻 Supplement2 号 p. 541-551

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抄録

外科領域において新しい注射用抗生剤であるcarumonam (以下CRMN) について, 基礎的, 臨床的検討を行い以下の成績を得た。
1) 抗菌力: 外科病巣分離のStaphylococcus aureus, Escherichia coli, Klebsiella, Pseudomonas aeruginosaについてCRMNの抗菌力を検討したが, 本剤はaztreonam (以下AZT) と同様にStaphylococcus aureusには抗菌力は示さなかったが, E. coli, Klebsiella, P. aemginosaに対してAZTと同等ないしそれ以上の強い抗菌力を示した。
2) 胆汁中移行i臨床例3例において本剤の胆汁中移行を検討したが, 本剤の胆汁中濃度は1g投与において最高16.5μg/mlと血中濃度より低く, 本剤は胆汁中移行低濃度群と考えられた。
3) 臨床使用成績: 外科領域感染症24例に本剤を使用し, その臨床効果, 安全性, 有用性について検討した。その結果, 臨床効果は著効7例, 有効13例, やや有効2例, 無効1例, 判定不能1例であり有効率は87.0%と良好であった。本剤によると思われる副作用は全例に認めず, また, 臨床検査値の変動に関しては3例にGOTなどの上昇を認めたが, 重篤なものではなく本剤の安全性に関してとくに問題となるべきものは認めなかった。

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© 社団法人日本化学療法学会
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