抄録
各種の動物を用いて7432-Sの一般薬理作用を調べ, cefaelor (CCL) と比較を行ない, 併せて7432-Sの代謝物7432-S-transについても検討を加え母化合物と比較を行なった。7432-SとCCLは経口投与を行ない, 7432-S-transと7432-SのNa塩は25%溶液を毎分1mlまたは5mlの速度で静脈注射を行なsた。7432-Sは単回投与 (4000mg/kgまで) ならびに1日2回5日間の連続投与 (1000mg/kgまで) ではマウスの粗大行動に対して著しい影響を及ぼさなかったが, 600mg/kg以上では軽度の自発運動の減少, 2000mg/kg以上で軽度の体温下降作用, 麻酔増強作用および軟便が認められた。イヌでは1000mg/kgの単回投与により少数例に嘔吐が発現, また1000mg/kgの1日2回5日間の連続投与では嘔吐, 軽度の軟便および血便が認められたが, それ以外の行動変化および各種の中枢神経系パラメーターならびにラットの神経・筋接合部に対する作用はなかった。無麻酔イヌおよび麻酔ネコの呼吸, 血圧, 心電図, モルモットの摘出右心房標本ならびに麻酔ネコの自律神経系にも認むべき作用はなかった。7432-S500mg/kg以上でマウスの小腸炭素末輸送能が軽度に亢進したが.ウサギの生体位胃・回腸運動, ウサギおよびモルモットの摘出回腸標本ならびにラットの子宮運動に対しては作用がなかった。7432-S 250mg/kgの単回投与ではラットの尿中creatinine排泄量が軽度に増加し, 1000mg/kgでは尿量が一過性に減少した以外電解質の排泄量に著変は認められなかった。しかし1000mg/kgの1日2回5日間の連続投与では尿量および尿中電解質の排泄量が減少し, 尿pHが軽度に低下した。7432-S 1000mg/kgでラットの胃液分泌量と総酸排出量を低下させたが, ウサギの血糖には影響が認められなかった。以上のように7432-Sは大量投与時, とくに連続投与時に一部の試験項目に影響が認められただけなので, 全般的にみた一般薬理作用はきわめて軽度であり, CCLと同程度か, それ以下であることが明らかにされた。また7432-S-trans-rich-Naの一般薬理作用は, イヌでの催吐作用以外には7432-S-Naと同程度かまたは幾分軽度であった。