CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
37 巻, Supplement1 号
選択された号の論文の92件中1~50を表示しています
  • 五島 瑳智子, 小川 正俊, 金子 康子, 桑原 章吾
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 1-20
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口cephem剤7432-Sのin vitroおよびin vivo抗菌作用をT-2525 (T-2588: in vivo), cefixime (CFIX), cefuroxime (CXM: in vitro, CXM-AX: in vivo), cefaclor (CCL), cephalexin (CEX) と比較し, 次の結果をえた。
    7432-SはT-2525, CFIXと類似した抗菌スペクトラムを有し, 特にEschertchia coli, Klebsiella pneumoniae, Morganella morganii, Enterobacter cloaeae, Serratia marcescensに対する抗菌力は, T-2525, CFIX, CXM, CCL, CEXより強かった。
    Pseudomonas aeruginosaやmethicillin耐性Staphyloeoccus aureusに対する抗菌力は他剤と同様に弱かった。
    各種グラム陰性が産生するβ-lactamaseに対して, CFIXおよびT-2525と同様安定であった。β-lactamase産生菌を感染菌としたマウスの実験感染で, 7432-SはCFIX, T-2525と同程度の治療効果を示した。
  • 井上 栄子, 井上 松久, 三橋 進
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 21-32
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1. 7432-SはStreptococci, 腸内細菌科各菌種およびHaemophilus influeneaeに対し強い抗菌力を示した。
    2. 7432-Sはβ-ラクタマーゼ産生菌に対しても優れた活性を示した。しかし, Pseudomonas aeruginosa, Xanthomonas maltophilia, Citrobaeter freundiiに対しては他の薬剤と同様に弱い抗菌活性を示した。
    3. 7432-Sの強い抗菌活性は各種β-ラクタマーゼに対する安定性からも裏づけられた。すなわち, 7432-Sはベニシリナーゼ (PCase) およびX. maltophilia の産生するセファロスポリナーゼ以外のセファロスポリナーゼに対して安定であった。
    4. マウス感染実験系での7432-Sの感染防御効果は, Staphylococcus aureus Smithに対しては他のいずれの対照薬剤よりも劣っていた。しかしEscheriehia coli ML4707, Slerratia mareescens GN14931に対する本剤の防御効果はcefiximeのそれと同様に高く, in vitroの抗菌力を反映していた。
  • 横田 健, 鈴木 映子, 新井 京子
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 33-43
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    原体吸収で高い血中濃度の得られる7432-SのStaphylococcus aureus, ceagulase (-) staphylococc, i (CNS), β-streptococci, Streptococcus pneumoniae, Enterococcus faecalis, Enterococcus faecium, Escherichia coli, Escherichia coli CS 2 (R+), Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Proteus vulgaris, Morganella morganii, Providenciarettgeri, Gitrobacter freundii, Serratia marcescens, Enterobacter cloacae, Pseudomonascepacia, Xanthomonas maltophilia, Pseudomonas aeruginosa, ampicillin (ABPC) 耐性Haemophilus influenzae及びBacteroiales fragitisの21~51臨床分離株に対するMIC70はそれぞれ>100, >100, 12.5, 6.25, >100, >100, 0.2, 0.2, 0.05, 0.025, 0.025, 0.78, 0.013, 1.56, 0.2, 3.13, 1.56, >100, >100, 0.1及び100μg/mlであった。
    7432-SはS.aureusのPBP2及び3にほとんど結合しないが, E.coli PBP3及びIBsに対する親和性はCCLより強く, P.vulgarisのPBPではPBP3に対する親和性がCCLより著明に (1-b) 高かつた。
    7432-Sの血清補体との協力的殺菌作用はCCLより強いが中等度であり, マウス培養Mφとの協力的食菌殺菌作用は1/4MICまで明らかに認められた。
    7432-SはP.aerugtnosa, X.maltophilia, B.fragilis等を除くグラム陰性菌感染症に, その臨床効果が期待される。
  • 渡辺 邦友, 加藤 直樹, 沢 赫代, 武藤 吉徳, 上野 一恵
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 44-53
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口用セファロスポリン剤であるceftibuten (CETB) の嫌気性菌に対する細菌学的評価を, cefacler (CCL), cefixime (CFIX), amoxycillin (AMPC) などを比較薬剤として行い. 以下のような成績を得た。CETBは, 嫌気性グラム陽性および陰性菌に広い抗菌スペクトラムを有した。しかし, Baeteroiales fragiltsをはじめとするB.fragilis groupに属する菌種の多くに対して弱い抗菌作用しか示さなかった。グラム陽性菌には, CCLより劣りCFIXと同等, グラム陰性菌には, CCLよりすぐれCFIXと同等の抗菌作用であった。CETBは, B.fragaisの産生するβ-lactamaseに加水分解された。しかし, その程度はCFIXと同程度でCCLよりははるかに安定であった。
    ラットのパウチでのB.fragilis感染モデルに対し, CETBは200mg/kg経口投与により.対数増殖期後期の菌にわずかに静菌的作用を示すに止まった。このモデルで, 6時間後のパウチ内薬剤濃度が, B.fragilisの105 cfu/mlでのMICを上回る1.7~2.2μg/ml (3匹での平均値) の濃度に達していた。
    本薬剤をマウスに100mg/kg経口投与した所, 中止後1日目と7日目に盲腸内容物からClostridium difficileが分離された。中止後1日目の菌数が, 7日目の菌数より高かった。
  • 西野 武志, 松田 早人, 大槻 雅子, 杉澤 美奈子, 三浦 由香里
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 54-71
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく合成された経口用セフェム系抗生物質7432-Sに関するin vitroおよびin vivo抗菌作用を, cefixime (CFIX), cefaclor (CCL) およびamoxicillin (AMPC) を比較薬として検討し, 以下の成績を得た。
    7432-Sは, グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して幅広い抗歯スペクトルを有し, 特にCCLが感受性を示さない腸内細菌を含むグラム陰性菌に対して優れた抗菌力を示した。しかしグラム陽性のStapdylococcus属, Enterococcus faecalisには無効であった。
    7432-Sの抗菌力に及ぼす培地pH, 馬血清添加, 接種菌量の影響について検討したところ, 比較薬と同様にほとんど影響が認められなかった。Escherichia coli, Klebsiellapneumoniae, Skirratia marcescensを用い殺菌作用を検討したところ, 7432-Sは作用濃度に対応した殺菌作用を示した。マウス実験的腹腔内感染症に対する治療効果では, 7432-SはE.coli, K.pneumoniae, Enterobacter cloacae, S.marcescens, Proteusmirabitisなどのグラム陰性菌による感染症に対してCFIX, CCLより優れた治療効果を示したが, S, aureus, Streptococeus pryogenes, Streptococcus pneumoniaeなどのグラム陽性菌では, その治療効果はCCLより劣っていた。又, P.mirabilis, K. pneumoniaeを用いたマウス局所感染症に対しても7432-Sは.良好な治療効果を発現した。マウス体内動態を検討したところ7432-Sは血中ピーク値および尿中回収率ともCFIX, CCLより優れていた。
  • 後藤 延一, 堀内 三吉, 稲垣 好雄, チャルアイー エカタクシン, 檜垣 恵, 高野 秀子, 小川 正之, 中谷 林太郎
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 72-77
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口セフェム剤7432-Sの最小発育阻止濃度 (MIC) を, Shigella spp.136株, Salmonella spp.55株, Escheriehia coli 33株, Campylobacter spp. 24株, Vibrio parahaemolyticus 12株, V.cholerae 10株の腸炎起因菌を対象に測定し, cefixime (CFDX).enoxacin (ENX), nalidixic acid (NA) と比較した。90%の菌株の発育を抑制する7432-SのMIC (MIC90) は, Shigella spp. に対しては0.20μg/ml, Salmonella spp.には0.10μg/ml, E.coliには0.39μg/ml, Campylobacter spp.には50μg/ml, V. parahaemolyticusには0.78μg/ml, V. choleraeには0.20μg/mlであった。これらの値を同系薬のCFIXと比べると, おおむねCFIXより2倍低く, Vibrioに対してだけは逆に7432-Sが4倍高かった。また.ENXのMIC90と比較すると, Salmenella spp.に対しては7432-Sが4倍近く, Shigella spp.には等しく, 他の菌種についてはより高かった。NAのMIC90とは, Campylobacter spp.に対してだけは7432-Sの方が高かったが, Vibrio spp.に対して2倍低く, その他の菌種に対しては8倍~64倍低い値であった。
    7432-Sには, Campylobacter spp.の90%以上の株がMIC 6.25μg/ml以上の, またS.sonneiの1株 (0.8%) がMIC25μg/mlの, それぞれ中等度耐性菌であった。
  • 中島 光好, 植松 俊彦, 滝口 祥令, 水野 淳宏, 吉田 正, 内田 清久, 山田 秀雄, 山本 貞雄, 北川 隆康, 尾熊 隆嘉, 石 ...
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 78-109
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口セフェム系抗生物質7432-S (一般名: ceftibuten) の臨床第I相試験として. 健康成人男子延48名に, 単回および連続投与し, その安全性と忍容性, および体内動態について検討し. 以下の成績を得た。
    1. 7432-S10, 20, 25, 50, 100, 200mg (力価) 単回投与, 1回100mg 1日2回14日間および1回200mg 1日2回7日間連続投与試験にて自覚症状, 他覚所見, 血液学的検査, 血液生化学検査, 尿検査等において7432-Sによると思われる異常は認められなかった。
    2. 両連続投与試験において腸内細菌叢に及ぼす影響を検討した。好気性菌において7432-Sに感性のEscherichia coli, Klebsiella sp., Enterobacter cloacae, Citrobacter freundii等が投与中に減少したが, 投与終了後速やかに回復した。嫌気性菌にはほとんど影響は認められなかった。
    3. 7432-S25, 50, 100, 200mgを空腹時1回投与した時の平均血漿中濃度の推移は投与後3時間で最高に達し, その濃度はそれぞれ1.30, 3.03, 4.57, 10.48μg/mlであり, 明瞭なdoseresponseが認められた。血中半減期は1.5~2.1時間であった。7432-Sはほとんど未変化のまま尿中に排泄されるが, 代謝物として7432-S-transがわずかに血漿中, 尿中に認められた。7432-S-transの尿中排泄率は8.5%で, 未変化体の7432-Sと合わせた24時間尿中回収率は78.6~72.9%であった。
    4. 7432-S100mgを食事開始後30分に投与すると, 空腹時投与と比較して最高血漿中濃度に達する時間がやや遅れるものの, Cmax, AUCはほとんどかわらなかった。
    5. 1回100mg 1日2回14日間および1回200mg 1日2回7日間連続投与試験においても7432-Sの蓄積は認められなかった。
    6. 血清蛋白結合率は血清中の7432-S濃度が16μg/mlの範囲まではほぼ一定で, 平均65.2%であった。
  • 山作 房之輔, 鈴木 康稔, 宇野 勝次
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 110-114
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    健康成人被検者5名に7432-Sを空腹時に100mg内服させ, 血清中・尿中濃度をHPLCで測定した。平均血清中濃度のピークは3時間後の4.29μg/mlで, 個々の被検者については2時間後2例, 3時間後3例にピークが見られ, 3.34~5.76μg/mlであった。12時間後の血清中濃度は0.06~0.23μg/ml, 平均0.17μg/mlであった。7432-S transは1時間後から2例に, 2時間後から全例の血清中に平均0.15μg/ml検出され, 以後3時間後0.24時間後2.6, 6時間後0.19μg/mlとなり, 8時間後には4例, 12時間後には1例のみから検出された。12時間後までの7432-Sの平均尿中回収率は68.6±7.04 (S.D.)%, 7432-S-vtransは6.96±0.75%で, totalとしては75.56±7.59%であった。one compartment opanmodelにより求めた7432-Sの平均Cmaxは4.95±1.02μg/ml, 平均Tmaxは1.99±0.58時間, 平均T1/2 (β) は2.23±0.89時間, 平均AUCは22.4±3.7μg・hr/mlであった。
  • 谷村 弘, 内山 和久, 吉田 圭介, 小林 展章, 小澤 和恵, 丸山 啓介, 岡本 美穂二, 加藤 仁司
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 115-122
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口用cephem剤7432-Sはβ-lactamaseに安定で, グラム陰性桿菌に優れた抗菌力を有し, 各種感染症における治療効果が期待されているが, その胆汁中移行については系統的に検討されていない。今回, 我々は7432-Sの胆道疾患における基礎的検討を行った。
    1) 7432-S100mg (3例) 投与後の血中濃度は3~4時間目に2.8±1.0μg/mlであり, その際の胆嚢胆汁中濃度は0.4~2.4μg/ml, 胆嚢組織内濃度は1例では33.6μg/gであったが, 他の2例は0.3および1.1μg/gであった。また200mgの1例における血中濃度は4時間目に5.7μg/mlであり, 胆嚢胆汁中濃度は2.3μg/ml, 胆嚢組織内濃度は2.7μg/gであった。
    2) T-tube挿入例における7432-S100mgと300mgの胆汁中濃度の比較では胆汁中ピーク値がそれぞれ8.2, 18.9μg/ml, AUCは29.9, 103.7μg・hr/mlと明瞭な用量依存性を認めた。
    3) 7432-S200mg単独とそれにUDCA300mg併用時の比較では, 第1例での胆汁中ピーク値はそれぞれ36.2, 142μg/ml, AUCも0~12時間累計で194.0, 577.8μg・hr/mlと3倍であった。第2例では, 胆汁中ピーク値はそれぞれ3.2, 5.5μg/ml, 0~6時間累計でのAUCも6.1, 13.3μg・hr/mlと2倍であった。
    なお, 7432-S投与の全例において, 本剤の影響と思われる副作用や臨床検査値の異常は認あなかった。
  • 斎藤 玲, 加藤 康道, 小田柿 栄之輔, 篠原 正英, 富沢 磨須美, 中山 一朗, 佐藤 清
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 123-142
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいcephem系の経口用抗生物質7432-Sについて抗菌力, 体内動態および臨床効果について検討した。
    臨床分離株180株について本剤および対照薬剤のMICを測定した。Escherichia coli, Mebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Morganella morganiiおよびSerratia mareescensでは0.1μg/mlにピークがあり, cefaclor, cefiximeおよびCS-807より優れた感受性を示した。Pseudomonas aeruginosaおよびStaphylococcus aureusでは感受性を示さなかった。
    7432-S 200 mgを健常成人男子6名に空腹時単回投与し, 血中および尿中濃度をbioassayとHPLCにより測定した。one-compartment open modelで算出した薬動力学的パラメーターはbioassayでCmax 9.33μg/ml, Tmax 2.59時間, T1/21.79時間, AUC 40.6μg・hr/ml, HPLCでCmax 9.37μg/ml, Tmax2.60時間, T1/21.84時間, AUC40.7μg・hr/mlであった。尿中排泄は12時間まででbioassay, HPLC共に70%以上の排泄率を示した。なお, HPLCの測定で7432-S-transを血中, 尿中共に認めた。
    呼吸器感染症7例, 尿路感染症15例の計22例に本剤1回100mg, 1日3回を経口にて3~10日間投与した。臨床効果は著効10例, 有効7例, やや有効4例, 無効1例となり, 有効率77.3%の成績であった。副作用および臨床検査値異常は全例にみられなかった。
  • 平賀 洋明, 大道 光秀, 笹岡 彰一
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 143-147
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    広範囲のグラム陰性菌および一部のグラム陽性菌に対して抗菌スペクトルを有する新経口用セフェム系抗生物質7432-Sを呼吸器感染症に投与し, 臨床効果および安全性を検討した。
    慢性気管支炎の急性増悪11例, ぴまん性汎細気管支炎1例, 気管支拡張の増悪1例, 肺炎1例計14例で有効12例, やや有効2例で。有効以上の有効率は85.7%であった。
    副作用・臨床検査値の異常は1例も認められなかうた。
    以上より, 本剤は安心して使用できる抗生物質といえ。
  • 渡辺 彰, 大泉 耕太郎, 青沼 清一, 小野 玲子, 本田 芳宏, 徳江 豊, 今野 淳
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 148-157
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新セフェム系抗生物質7432-Sの, 臨床分離6菌種, 叶120株に対するin vitro抗菌力を, cefaclor, cefixime, amoxicillinと比較検討した。また, 慢性気遵感染症の急性増悪11例に7432-Sを投与してその臨床効果, 細菌学的効果, 副作用について検討し, 臨床的な位置付けについて考察を加えた。黄色ブドウ球菌に対する7432-Sの抗菌力はamo麗icillin, cefaclorより5段階cefiximeより2段階劣っていた。大腸菌, 肺炎桿菌, エンテロバクター, セラチア, 緑膿菌に対する抗菌力はcefiximeとほぼ同等で, amoxicillinやcefaclorより優れていた。気管支拡張症二次感染2例, 慢性気管支炎6例, びまん性汎細気管支炎急性増悪1例, 肺線維症二次感染1例, 肺癌二次感染1例の計11例に7432-Sを1日300mg投与し, 有効7例, やや有効1例.無効3例の成績を得た。主にグラム陰性桿菌11株を分離し, 7432-Sの投与により8株が消失, 3株が減少 (うち緑膿菌2株) という成績を得た。臨床的副作用は全例に認めず, 好酸球数増多を2例, GOTとGPTの上昇を1例に認め, いずれも軽度で一過性であるが, 本剤の投与に起因するものと考えられた。以上より, 本剤は慢性呼吸器感染症に対して有用であると考えられた。
  • 林 泉, 大沼 菊夫, 蓮池 美樹
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 158-163
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    7432-Sの呼吸器感染症における有効性・安全性の検討を行った。
    対象は慢性下気遭感染症14例で, 男性6例, 女性8例の成人である。7432-Sの1日投与量は300mg分311例, 400mg分23例で, 投与期間は4日から28日であったが, 7目から14日間が9例と多かった。
    本剤投与前, 喀痰から分離された起炎菌は12株あり, 治療により9株が消失, 3株が減少した。投与後出現菌としてHaemophilus influenzaeが1株あった。除菌率は9/12=75.0%であった。
    臨床効果は, 著効4例, 有効9例, やや有効1例 (有効率13/14=92.9%) であった。
    副作用は2例に見られた。嘔気を訴えた1例は5日間で中止した。他の1例はかゆみを訴えたもので, 発疹は伴わなかった。又, 臨床検査値異常を示したものは1例あり, GOT・GPTの軽度上昇であった。
  • 和田 光一, 鈴木 紀夫, 星野 弘之, 田崎 和之, 荒川 正昭, 星野 昭夫, 吉田 良二, 岩永 守登, 伊藤 慶夫, 樋口 英嗣, ...
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 164-171
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいセフェム系の経口抗生剤である7432-Sの各種腎機能における体内動態と呼吸器感染症に対する臨床的検討を行なった。
    1) 7432-Sを腎機能正常群 (Ccr: 90 ml/min以上) 2例, 中等度障害群 (Ccr: 30~60ml/min) 3例, 高度障害群 (Ccr: 10ml/min以下) 3例 (1例は Continuous ambulatory peritonealdialysis: CAPD施行例) に200mg内服させた後の血中濃度, 尿中回収率を検討した。Bioassayの結果では, Tmax, Cmax, T1/2 (β), AUC, そして12時間尿中回収率は.正常群は0.76, 3.25hr, 9.14, 13.76μg/ml, 1.17, 1.93hr, 38.70, 45.63μg・hr/ml, 50, 72%, 中等度障害群は3.71~6.76hr, 6, 67~11.82μg/ml, 3.54~6.88hr, 101.07~117.70μg・hr/ml, 6.1~39.0%, 高度障害群は2.53, 3.70hr, 8.37, 13.01μg/ml, 18.24, 28.88hr, 324: 54, 586.14μg・hr/ml, 2.0, 8.1%であった。CAPD施行例では0.89hr, 16.93μg/ml, 16.12 hr, 423.84μg・hr/ml, 0.3%, PD液よりの回収率12.4%(24時間) であった。HPLCの結果 (cis体) は, 近似した成績であり, 腎機能低下とともにT1/2 (β) の延長, AUCの増加が認められた。
    2) 呼吸器感染症に対する臨床的検討は, 呼吸器感染症8例に7432-Sを1日300~400mg, 7~21日間使用した。臨床効果は, 8例全例有効であり, 細菌学的効果は.菌消失4例, 菌交代1例であった。
    本剤による副作用は認めなかったが, 臨床検査値の検討で, 1例にGPTの軽度上昇を認めた。
  • 青木 信樹, 関根 理, 薄田 芳丸, 甲田 豊, 若林 伸人, 林 静一, 新田 功, 本間 千鶴子, 渡辺 京子
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 172-177
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症16例に7432-Sを使用した。対象は41歳から87歳まで (平均69.5歳) の男性10例, 女性6例で, 100ないし200mgを1日2回あるいは3回内服とし, 期間は5~21日, 総使用量は1.3~6.3gであった。
    臨床効果は著効1, 有効11, やゝ有効2, 無効2例であった。副作用は臨床的には特にみられず, 検査成績上トランスアミナーゼの上昇を2例に, 好酸球増多を1例に認めたが, いずれも軽微なもので治療終了後速やかに正常化した。
  • 藤田 享宣, 東郷 利人, 福井 俊夫, 奥井 津二, 勝 正孝
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 178-183
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    7432-Sの基礎的・臨床的検討を行ない以下の知見を得た。
    基礎的検討での本剤の抗菌力はグラム陰性菌のEseherichia coli, Klebsiella pnewnoniae, Proteus vulgaris, Providencia rettgeri, Morganella morganii, Enterobacter cloacae, Serratia marcescens, そしてHaemophilus influenzaeに対しては他対照薬より優れた成績であった。一方グラム陽性菌のStreptoeoecus pyogenesについてはofloxacin (OFLX), minocycline (MINO) よりは優るもののcefaclor (CCL) あるいは他のNew oral cephem剤に比して1管ほど劣る成績であった。
    臨床的検討では合計8例の呼吸器感染症, 尿路感染症に本剤を投与し1例の判定不能例を除き有効5例, やや有効1例, 無効1例の71.4%の有効率であった。
    副作用および臨床検査値異常は検討した症例中1例も認められなかった。
  • 斧 康雄, 馬場 ますみ, 上田 雄一郎, 芳賀 敏昭, 安達 悦子, 村岡 啓, 野末 則夫, 西谷 肇, 国井 乙彦, 宮下 英夫
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 184-191
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    7432-Sは, 新しいセフェム系の経口抗生物質である。本剤の食細胞機能に及ぼす影響, 臨床分離株に対する抗菌力および臨床的効果について検討した。
    1) 臨床分離のEscherichia coli (19株), Klebsiella pneumoniae (20株), Pseudomonas aeruginosa (15株), Stapdylococcus aureus (19株) に対する7432-Sおよびcefaclor (CCL), amoxicillin (AMPC) の感受性を検討した。
    E. coliK. pneumoniaeに対する7432-Sの抗菌力は, ほとんどがMIC 0.1μg/ml以下であり, CCLやAMPCより優れていた。P. aeruginosaの大部分の株は, CCLやAMPCと同様に, 7432-Sに対しても高度耐性であった。S. aureusに対しては. 本剤は感受性不良で, AMPCより劣り, CCLよりはやや劣ったMICであった。
    2) E.coli NIHJ JC-2株を7432-SのSub-MICs (1/2, 1/4, 1/8MIC) で, 37℃の恒温槽中で, 3時間振盪培養した場合, 菌のフィラメント化がみられた。
    3) 7432-Sの1/4MICで処理したE. coli NIHJ JC-2株を用いた全血chemiluminescence (CL) は, 未処理菌に比較して1.36倍高値を示した (P<0.05)。
    4) 7432-Sで処理された細菌のCLピーク時間は, 未処理菌に比較して有意に短縮していた (P<0.05)。この結果は, この薬剤によって処理された細菌により, 血清オプソニン活性が亢進することが推測される。
    5) 7432-S処理菌による好中球CLは, 未処理菌に比較して, 1.31倍高値を示した (P<0.05)。単球CLも, 有意ではないが, 薬剤処理菌は未処理に比較して1.18倍高値を示した。
    6) 臨床的には, 尿路感染症5例, 肺炎2例に, 本剤1回100mgを, 1日3回, 5~21日間経口投与した。成績は, 著効3例, 有効3例, やや有効1例であった。副作用は認められず, 2例において臨床検査値異常が認められたが, 本剤使用との因果関係は不明であった。検査値異常は, GOT, GPTの上昇1例, Hbの減少1例であり, 両方ともに軽度な異常で, かつ一過性であった。
  • 宇塚 良夫, 丸山 英行
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 192-198
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    第3世代セフェム型経口抗生剤 (経口用) 7432-Sの呼吸器感染症における臨床的有用性の検討を行った。呼吸器感染症20症例 (慢性気管支炎13例, 慢性肺気腫7例) に本剤400mg/日, 分2で5~7日間の投与を行った。起炎菌延べ22株 (Streptocoeeus pneumoniae 1株, Branhamella catarrhalis1株, Haemqphilus influenzae 20株) 中, S. pneumoniae 1株のみが残存し, 他は全て除菌された。H. influenzaeS. pneumoniaeの混合感染の慢性肺気腫1例でS. pneumoniaeが残存し, 臨床効果もやや有効であったが, 他は, 著効1例, 有効18例で有効率95%であった。副作用と思われる症状は全く認められず, 臨床検査値異常も出現しなかった。
    以上の成績から, 本剤は呼吸器感染症の化学療法において有用な薬剤と考えられる。
  • 柴 孝也, 斎藤 篤, 嶋田 甚五郎, 加地 正伸, 堀 誠治, 吉田 正樹, 宮原 正, 上田 泰
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 199-207
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口用Cephem剤7432-S (Ceftibuten) について検討し, 以下の成績を得た。
    1. 吸収・排泄: 健康成人志願者男子6名に早朝空腹時並びに朝食後に本剤200mg 1回内服した際の最高血中濃度はそれぞれ2時間後に平均9.28±3, 29μg/ml, 6時間後に5.72±2, 02μg/mlで, 以後1.74時間, 2.15時間の血中半減期 (β相) をもって低下し, 12時間後には0.43μg/ml, 0.97μg/mlとなった。12時間迄の累積尿中回収率は64.5%, 56.5%であった。空腹時投与に比し朝食後の最高血中濃度到連時間の遅れは, 和定食という量による影響であると考えられた。
    また, probenecid 1gを併用した際の本剤200mgの最高血中濃度は3時間後に10.44±1.08μg/mlとなり, 血中半減期は延長 (1.74→2.29時間) し, 血中濃度曲線下面積は増大 (43.2→56.2μg・hr/ml) し, 12時間迄の尿中回収率は低下 (64.5→58.4%) した。この成績より, 本剤の腎排泄機序は糸球体濾過のほかに尿細管分泌の関与が考えられる。
    2. 臨床: 急性膀胱炎2例に本剤を1日300mg (100mg×3回) を5~7日間使用し, 著効, 有効それぞれ1例の臨床効果を得た。起炎菌別細菌学的効果は分離し得たProteus mirabilisの1例は消失した。副作用は2例ともにみられず, また本剤使用前後での臨床検査値にも異常変動は認められなかった。
  • 片平 潤一, 熊田 徹平, 戸塚 恭一, 清水 喜八郎
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 208-213
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新らしく開発された経口用セフェム系抗生剤7432-Sについて体内動態および臨床効果を検討した。
    体内動態は3名のボランティアに対し, 100mg, 200mgおよびプロベネシッド併用時200mg投与について検討した。100mg投与では最高血中濃度は平均6.2μg/ml, 200mg投与では12.6μg/mlであり, Dose responseが認められた。β相半減期は2.2~2.4hでDoseによる差はなく, またプロベネシッド併用による血中濃度, β相半減期への影響は認めなかった。
    臨床効果は14例について検討したが, 急性気管支炎5例は全例有効以上, 慢性気管支炎急性増悪4例は全て有効, 慢性咽頭炎と慢性咽喉頭炎の各1例はやや有効, 気管支肺炎の1例は著効, 急性と慢性の腎孟腎炎各1例はいずれも著効であり, 全体として著効5例, 有効7例で, 有効率85.7%であった。細菌学的には7例で起炎菌が検出され, 6例で消失したが, Staphyloeeceus aureusの1例は残存した。
    副作用は1例で軽度の心窩部痛を認め, 臨床検査値異常は4例で認めたが, いずれも軽度であり, 投薬中止により改善した。
  • 押谷 浩, 河合 伸, 小林 宏行
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 214-216
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    呼吸器感染症9例 (慢性気管支炎2例, 気管支拡張症+感染1例, 急性気管支炎2例, 肺炎4例) に対して7432-S, 1回200mg1日2~3回の経口投与による臨床効果を検討した。
    その結果, 肺炎の1例はやや有効であったが他の8例は全例有効であり, 全体の有効率は88.9%であった。
    副作用ならびに臨床検査値異常は, 全例でみられなかった。
  • 稲松 孝思, 深山 牧子, 加藤 明彦, 大浦 正晴, 島田 馨, 佐野 靖之, 宮本 康文
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 217-230
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口セフェム剤7432-Sを高齢者に投与した時の体内動態の検討および各種感染症における臨床的評価を行った。
    明らかな腎・肝機能障害をともなわない高齢患者に7432-S 200mgを空腹時5人 (平均年齢77歳, 平均体重50.2kg), 食後4人 (平均年齢75.8歳, 平均体重51.0kg) に投与した。血清および尿中薬剤濃度をhigh-pressure liquid chromatography (HPLC) 法によりcis体, trans体にわけて分離定量した。
    空腹時投与例では, cis体およびtrans体の最高濃度は各々13.9±2.4μg/ml (2時間), 0.9±0.2μg/ml (3時間) であった。Cis体の血中半減期 (T1/2) は2.7時間, 曲線下面積AUC (~12時間) は82.0μg・hr/mlであった。12時間までの尿中回収率は60.7%(cis体44.7%, trans体15.9%) であった。既報の健常若年ボランティアの成績と比較すると, 空腹時投与群では, 高齢者では尿中回収率が低いにもかかわらず, 最高血中濃度は高く, 半減期も長かった。食後投与例ではcis体およびtrans体の最高濃度は各々9.0±3.2μg/ml (3時間), 0.6±0.02μg/ml (6時間) であった。Cis体の血中半減期 (T1/2) は2.88時間で, AUCは59.9μg・hr/mlであった。12時間までの尿中回収率は51.6%(cis体44.1%, trans体7.5%) であった。
    高齢者感染症患者19名に本剤を投与し臨床評価を行ったが, 下気道感染症15例では有効率73.3%, 尿路感染症4例では25%であった。副作用は嘔吐と下痢が1例つつ認められた。
  • 渡辺 一功, 浜本 恒男, 池本 秀雄
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 231-235
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    7432-Sは塩野義製薬研究所で合成, スクリーニングされた経口用セフェム系抗生物質である。
    今回, 7432-Sを呼吸器感染症12例に投与し, その臨床効果と副作用などについて検討した。
    対象症例は男性9例, 女性3例, 年齢分布は33歳より77歳 (平均年齢54.9歳) におよび, 疾患の内訳は慢性気管支炎6例, 急性気管支炎3例, びまん性汎細気管支炎1例, 感染を伴った気管支拡張症2例である。
    投与方法は1回200mg, 1日2回, 食後に経口投与した。投与日数は7日間が10例, 14日間が2例 (平均投与日数8.2日), 総投与量は2.8gより5.6g (平均総投与量1.17g) である。
    臨床効果は著効1例, 有効10例, やや有効1例で, 12例中11例が有効以上の成績であった。疾患別では慢性気管支炎6例, 急性気管支炎3例は全例有効, 感染を伴った気管支拡張症の1例は著効, 1例は有効, びまん性汎細気管支炎の1例はやや有効であった。細菌学的検討は10例に喀痰培養を試み, 起炎菌として3例からHaemophilus influeneaeを, 2例からKlebsiella pneumoniaeを分離したが, 本剤投与でH. influenzaeの1例を除き全て除菌可能であった。
    副作用としての発疹, 発熱, 嘔気, 嘔吐, 下痢などは全例認めず, また臨床検査値も本剤投与前後で, 特に異常値は認めなかった。
  • 中森 祥隆, 野口 昌幸, 中谷 龍王, 蝶名林 直彦, 中田 紘一郎, 谷本 普一, 杉 裕子
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 236-240
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口用セフェム系抗生物質である7432-Sを呼吸器感染症16例に1回100~200mg, 1日2~3回投与し, その臨床効果, 副作用を検討した。疾患の内訳は, 下気道感染症14例, 急性肺炎2例であった。臨床結果は, 有効10例, やや有効1例, 無効5例で有効串63%であったの細菌学的効果では, Haemophtlus influenzae 5例中, 消失4例, 減少1例で, 消失串80%, Streptococcus pneumoniae 4例中, 減少1例, 不変3例であった。副作用は, 1例に軽度のGPT上昇を認めた以外異常を認めなかった。7432-Sは呼吸器感染症に有用な抗生物質と考える。
  • 工藤 宏一郎, 可部 順三郎
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 241-245
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    急性肺炎6例, 感染を伴った気管支拡張症2例, 慢性気管支炎2例, 計10例の呼吸器感染症に7432-Sを投与し, 臨床的検討および副作用について検討した。
    1回量100~200mg, 1日2~3回, 4~21日間投与し, 有効5例, やや有効1例, 無効4例, 有効率50.0%の臨床効果が得られた。
    本剤投与によると思われる副作用および臨床検査値異常は認められなかった。
  • 小林 芳夫, 藤森 一平
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 246-248
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口用セファロスポリン剤7432-Sに関して臨床的検討を加えた。
    気管支拡張症を基礎疾患に有する患者に併発した気管支肺炎および気管支炎患者に7432-Sを投与し有効および著効の成績を得た。慢性気管支炎の増懇患者1例に7432-Sを投与したがやや有効であった。
    投与症例3例全例に本剤の投与によると考えられる臨床的副作用, 臨床検査値以上は認められなかった。
    以上より7432-Sは今後さらに慢性気道感染症患者に使用しその臨床効果をさらに検討する価値のある薬剤と考えられた。
  • 小田切 繁樹, 千場 純, 松永 敬一郎, 鈴木 周雄, 室橋 光宇, 高橋 宏, 高橋 健一, 芦苅 靖彦, 綿貫 裕司
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 249-264
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しいセフェム系抗生剤7432-Sを呼吸器感染症15症例に投与し, 臨床的検肘を行った。投与方法は300mg・分3と400mg・分2を食後に服薬し, 4~17日間投与した。
    臨床効果は, 有効10例, やや有効2例, 無効2例, 不明1例で有効率は71, 4%であった。原因菌は7例より8株が判明し, その内訳は球菌ではStapdytococcus aureus, Strepotocoeeus pneumoniae各1株, 桿菌ではHaemophilus influenzae 3株, Klebsiella pneumoniae 2株, Pseudomonas aeruginosa 1株であった。これら8株に対する本剤の細菌学的効果は, H.influenzae 2株は消失, H. influenzaeK. pneumoniae各1株 (複数菌感染例) は共に消失するもS. aureusS. pneumoniaeに夫々菌交代, K. pneumoniae 1株とS. aureus 1株は共に不明, P. aeruginosa 1株は不変であった。
    副作用は2例に軽度の消化器症状を, 臨検値異常は3例にGOT, GPT, LDH, 好酸球などの軽度一過性上昇を認めたが, 臨床上, 特に問題となるものはなかった。
  • 三木 文雄, 生野 善康, 井上 英二, 村田 哲人, 谷澤 伸一, 坂元 一夫, 河瀬 吉雄
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 265-268
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口セフェム系抗生物質。7432-Sを呼吸器感染症患者に投与し, 有効性ならびに安全性の検討を行い, 以下の成績を得た。
    急性気管支炎1例。慢性気管支炎急性増悪3例, 感染をともなった気管支喘息1例, 肺炎1例, 計6例に対して, 7432-Sを1回200mg宛1日3回 (1例に対しては1日2回), 10~14日間経口投与した。
    急性気管支炎1例は有効, 慢性気管支炎急性増悪3例中1例有効, 1例やや有効, 1例無効, 感染をともなった気管支喘息1例はやや有効, 肺炎1例は有効の臨床効果が認められた。起炎菌を確定し得た4例中, 7432-S投与によって除菌し得たのはHaemophylus influenzaeの1例のみであり, 他のH.influenzaeの2例とPseudomonas aeruginosaの1例においては, 7432-S投与後も起炎菌の残存が認められた。
    好酸球増多1例, 好酸球増多とGOT・GPTの上昇が1例において認められたが, いずれも軽度の変動であり, 全症例において自他覚的異常反応は認められなかった。
  • 二木 芳人, 沖本 次郎, 田坂 佳千, 築山 邦規, 日野 二郎, 渡辺 正俊, 矢木 晋, 副島 林造
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 269-274
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口セフェム系抗生物質7432-Sについて, 細菌学的および呼吸器感染症に対する臨床的検討を行い, 以下の成績を得た。
    1) 7432-SのStmphylococcus aureusに対する抗菌力は100~200μg/ml以上にMICのピークを認め, cephalexin (CEX), cefpodoxim proxetil (CS-807, R-3746), ampicillin (ABPC) に劣るものであった。Escherichia coli, Klebsiella sp., Slerratia marceseensおよびProteus属に対しては, 本剤のMICのピークは0.025~0.18μg/mlにみられ, いずれもCS-807に勝る成績であった。Pseudomonas aeruginosa, Pseudomonas cepacia, Acinetobacter caleoaceticusについては, 7432-SのMICは高値を示した。
    2) 呼吸器感染症10例を対象に, 7432-S1日300mg分3もしくは400mg分2で4~7日間使用した結果, 臨床的有効率は有効8例, やや有効1例, 判定不能1例の88.9%であった。副作用は1例に下痢および腹痛を, また臨床検査値では1例にLDHの軽度上昇を認めた。
  • 澤江 義郎, 岡田 薫, 熊谷 幸雄, 石丸 敏之, 高木 宏治, 仁保 喜之
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 275-284
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口用セファロスポリン系抗生物質である7432-Sについて基礎的, 臨床的検討を行った。
    7432-Sの臨床分離菌に対する抗菌力をMIC80でみると, Stapdyboceccus aureus>100, Enterocoecus faecaliss>100, Escherichia coli 0.39, Klebstella spp. 6.25, Enterobacter spp. 100, Serratia marcescens 3.13, Proteus mirabilis 0.05, Proteus vulgaris 0.10, Citrobacter spp. 100, Pseudomonas aeruginosasa>100, Acinetobacter spp.50, Flavobacterium spp.50μg/mlであった。これらをcefaclor (CCL), cephalexin (CEX) の抗菌力と比較すると, グラム陽性球菌では数段階劣るものの, グラム陰性埠菌でははるかに優れたものであった。
    慢性気管支炎の急性増悪2例, 慢性気管支炎7例, 急性咽喉頭炎1例, 膨胱炎+普通感冒1例の計11例に, 7432-Sを1日0.3~0.49, 4~42日間使用したところ, 著効2例, 有効4例, やや有効3例, 無効2例であり, 有効率は54.6%であった。起炎菌の明らかにできなかった症例の有効率が低率であつた。副作用として上腹部痛と嘔気が1例に認められた。臨床検査値異常は認められなかった。
  • 井上 祐一他
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 285-297
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口セフェム剤7432-Sの基礎的ならびに臨床的検討を行い, 次の結果を得た。
    1. 抗菌力
    標準菌株29株および臨床分離株14菌種475株について, cefixime (CFIX), cephalexin (CEX), cefaclor (CCL), amoxicillin (AMPC), ofloxacin (OFLX) の6剤の最小発育阻止濃度を測定した。その結果, グラム陰性菌に対しては, 他の薬剤よりも優れた抗菌力を示し, 特に腸内細菌群に対し強い抗菌力を示した。グラム陽性菌に対しては抗菌力は弱く, 特にStaphylococcus aureus, Enterococcus faecalisに対し, 他剤に比べ劣っていた。
    2. 臨床効果および副作用
    呼吸器感染症23例 (慢性気管支炎16例, 肺炎2例, 気管支拡張症1例, びまん性汎細気管支炎1例, 間質性肺炎+気道感染症1例, 急性気管支炎1例, 塵肺+気管支炎1例) に本剤を投与した時の有効率は61.9%であった。いずれの症例も重篤な副作用はなかったが, トランスアミナーゼ (GOT, GPT) の軽度上昇を2例に, アルカリフォスファターゼ (ALP) の上昇を1例に, 軽度の好酸球増多を1例に認めた。
  • 隆杉 正和, 松本 慶蔵, 宍戸 春美, 永武 毅, 力富 直人, 高橋 淳, 宇都宮 嘉明, 渡辺 貴和雄
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 298-313
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口用セフェム系抗生物質7432-Sの基礎的, 臨床的研究を主として慢性呼吸器感染症を対象として行なった。
    7432-SのMIC値は, Haemophilus influenzae 43株はすべて0.1μg/ml以下, Klebecella pneumoniae 8株はすべて1.56μg/ml以下, Escherichia coli 6株中5株は 0.1~1.56 μg/mlに分布, 1株のみ50μg/mlの耐性園であった。Branhamella catarrhalts 48株は0.05~100μg/ml<まで広範囲に分布, ピーク値は3.13~6.25μg/mlにあった。Streptococcus pneumoniae47株は0, 78~100<μg/mlに分布, ピーク値は3.13μg/mlにあうた。Staphylacoccus aureas42株はすべて100μg/ml以上であった。
    本剤200mg投与後の血清中濃度は4例で測定し, そのピーク値はすべて投与2時間後で 7.14~12.1μg/mlであった。そのうち2例で喀痰中濃度を測定し, ピーク値は0.73μg/ml, 0.26μg/mlであり, 対血中濃度ピーク比 (喀痰中移行率) はそれぞれ6.0%, 3.3%であうた。
    7432-Sは経口的に1日主に400mgを2分割で投与し, 呼吸器感染症28例でその評価を行った。本剤の有効以上は22例で有効率は78.6%であった。
    起炎菌は28例中21例に22株が決定され, H.influenzaeは13株中12株, S.pnewnoniae 3株中1株, B.catarrhatis 2株中1株, K.pneumoniae 1株中1株に除菌効果が綛められたが, 黄色ブドウ球菌1株は除菌されなかった。
    副作用は全例に認められず, 本剤の安全性は高かった。
  • 那須 勝, 重野 秀明, 後藤 純, 後藤 陽一郎, 田代 隆良, 黒田 芳信, 山崎 仁志, 山崎 透
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 314-320
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発されたセフェム系抗生物質7432-Sについて, 抗菌九ヒトにおける血中濃度および喀痰内移行濃度, 呼吸器感染症における臨床効果を検討し, 以下の結果を得た。
    1. 抗菌力: 臨床材料由来のHaemophilue influenzae 40株.Escherichia coli 52株, Klebsiella pneumoniae53株, Proteus mirabilis53株, Morganella morganii54株, Enterobacter cloncae53株, Serratia marcescens54株の計359株について, 日本化学療法学会規定の方法 (接種菌量106cells/ml) に従って最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, 同時に測定したcefteram, cefixime, cefaclorのMICと比較した。7432-Sは全般にcefteram, cefiximeと同等かやや強い抗菌力を示し, cefaclorよりも数管強い抗菌力を示した。
    2. 血中濃度および喀痰内移行濃度
    慢性気道感染症患者2例に本剤200mg経口投与した血中濃度は, 3~4時間後に11.0~12.2μg/mlのピーク濃度を示し, 8時間後にも2.7~3.8μg/mlの濃度が得られた。100mg投与の1例は3時間後に4.4μg/mlのピーク濃度, 8時間後に0, 82μg/mlの濃度が得られた。
    喀痰内濃度は, 200mg内服例で0.02μg/mlの濃度が得られたが100mg内服例は測定限界以下であった。
    3. 臨床効果
    細菌性肺炎2例, 急性気管支炎1例, 慢性気管支炎2例, 気管支拡張症4例の計9例に300mg/日分3投与 (6例), 400mg/日分2投与 (3例) を7~14日間行った。著効1例, 有効4例, やや有効3例, 無効1例と判定された。本剤投与による自・他覚的副作用はなかった。LDH値の軽度上昇例が1例あったが, 本剤投与終了後は速やかに前値に復した。
  • 兼島 洋他
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 321-330
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口用セフェム系抗生剤7432-Sについて基礎的臨床的検討を行い次の結果を得た。
    1) 抗菌力: 教室保存の標準株12株と各種臨床分離株6菌種122株について本剤の最小発育阻止濃度 (MIC) を寒天平板希釈法にて測定し, cefaclor (CCL), cefotiam (CTM) と比較した。本剤の抗菌力は, Shapdylococeus aureus, Streptococcus pneumoniaeに対してはCCL, CTM両剤に比べ5管以上高く, Branhamella catarrhalisに対しては, 両剤と同等のMIC値を示した。Haemophilus influenzaeに対してはCCLより約8管, CTMより約4管程度の低いMIC値であった。Klebsiella pneumontaeに対してはCCLより約1~2管低く, CTMと同等のMIC値であった。Pseudomonas aeruginosaに対してはCCL, CTM, 7432-Sのいずれも高いMIC値であった。
    2) 臨床応用: 呼吸器感染症11例に対して, 本剤100mg×3回/日, または200mg×2回/日を3~14日間の経口投与を行った。有効7例, やや有効3例, 無効1例で有効率は63.6%であった。細菌学的効果では起炎菌の判明したものは少なかったが, H. influenzae, Streptococcus pyogenesの消失がみられた。いずれの症例でも副作用はみられず, 軽度のGPTの一過性の上昇を示した症例が1例みられた。
  • 大村 清隆, 熊本 悦明, 広瀬 崇興, 吉岡 琢, 西島 紀子, 宮本 慎一, 田宮 高宏, 高塚 慶次, 門野 雅夫, 岡山 悟, 恒川 ...
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 331-350
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口セフェム剤である7432-Sの有用性を基礎的, 臨床的に検討した。
    基礎的検討として, 尿路感染症の尿分離菌に対する7432-S, cefpodoxime proxetil (CS-807), cefixime (CFIX), cefaclor (CCL) のMICの比較を行った。7432-SのMIC80値はEscherichia coli0.20μg/ml, Proteus mirabilis0.025μg/ml, indol陽性Preteussp. 0.39μg/ml, Serratia marcescens25μg/mlと, これらの細菌に対しては4剤中最も優れており, Klebsiella pneumoniaeでは0.10μg/mlとCFIXに次ぐ抗菌力を示し, これら細菌による尿路感染症に対する臨床効果が期待された。しかし, Pseudomonas aeruginosa, Stapdylococcus aureus, Staphyldcoccus epidermidis, Enterococcus faecalis, Enterococcus faecium等の球菌のMIC80値は, いずれも100μg/mlを越え, これらによる感染症に対しては臨床効果は少ないものと考えられた。
    臨床的検討は複雑性尿路感染症25例を対象として行った。本剤100mgを朝昼夕食後3回, 原則として14日間投与し, 投与5日目と投与10日目以降の終了時にUTI薬効評価基準 (第3版) による薬効評価を行った。5日目で評価可能な20例では著効9例, 有効4例で総合有効率は65%であった。また10日間以上の長期投与した13例では著効5例, 有効4例, 総合有効率69%で, 同一症例の5日目判定と比較すると7%の向上が認められた。細菌学的には5日目で27株中25株 (93%) が消失し, 投与後出現菌として10例に12株認められた。長期投与例では13例20株中13株 (85%) が消失したが, 投与後出現菌として4例に5株認められた。
    副作用として, 自他覚的に問題になるものは認められなかった。
    以上より本剤はcefiximeと同程度かそれ以上の抗菌力を有し, 経口薬剤として複雑性尿路感染症の治療に対し, 高い有用性を有しているものと考えられた。
  • 広瀬 崇興他
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 351-374
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    7432-Sは新しい極ロセフェム系抗生物質であり, β-lactamaseに安定で, 時に緑膿菌を除くグラム陰性桿菌に対して強い抗園力を有する。そこで女子尿遵勝胱炎に対する本剤の用法, 用量を検討する目的で, 対象症例に (1) 25mg×2/日 (2) 50mg×1/日 (3) 50mg×2/日 (4) 100mg×11日の4投与法に割付け, 7日間投与した。3目目と7目目に臨床効果を判定し, また休薬7日目の再発についても検討した。その結果, 各投与群の総合有効寧はいずれも100%に近い成績を示し。4群間に有意差は認められなかった。また, 再発率も4群とも6、3%以内であった。UTI薬効評価基準の患者条件に合致した症例での検討でも各群88.2~100.0%の有効串を示し, 4群間に有意差は認められなかった。再発率も各群5.9%以内であった。副作用についても各群とも4.7%以下の発現串で, 既存の経口セフェム剤と同程度であった。したがって, 今回のような対象に対して7432-Sは1日50mg程度の少量を1回または2回に分服させることにより, 十分な効果が期待できる有用性の高い経口セフェム剤であると考えられた。
  • 土田 正義, 森田 隆, 西本 正, 平野 繁, 堂北 忍, 佐々木 秀平, 清水 世紀, 高田 斉, 市川 晋一, 福田 孝
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 375-384
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    種々の泌尿器科領域感染症に対し, 新しく開発されたセフェム系抗生物質7432-Sを1日200-600mg投与し, 臨床的検討を行った。
    検討症例は急性単純性膀胱炎1例, 淋菌性尿道炎1例, 慢性前立腺炎4例, 複雑性尿路感染症42例である。
    これらの総合臨床効果は主治医判定で急性単純性膀胱炎1例は著効, 淋菌性尿道炎1例は有効, 慢性前立腺炎4例は有効1例, やや有効2例, 無効1例であった。またUTI薬効評価基準に合致した複雑性尿路感染症例は37例であり, その臨床効果は著効11例, 有効10例, 無効16例で総合有効率は56.8%であった。
    副作用は1例に軽症の下痢が認められ, また臨床検査値で軽度のGOT上昇が1例, 軽度のT.bil.上昇が1例, 軽度のGPT, Alp, T.bil.の上昇が1例にみられた。
  • 豊田 精一, 星 宣次, 福士 泰夫, 折笠 精一, 鈴木 康義
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 385-389
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口用セフェム系抗生物質7432-Sを尿路感染症に使用して, その有効性と安全性にっき臨床的検討を行った。
    対象は単純性尿路感染症6例 (急性膀胱炎5例, 急性腎孟腎炎1例) と複雑 性尿路感染症5例の計11例であった。
    投薬方法は, 1回100mg, 1日2回経口投薬とし, 期間は単純性尿路感染症3日間, 複雑性尿路感染症5日間とした。
    効果判定は主治医による有効性, 安全性評価およびUTI薬効評価基準 (第3版) に従って行った。
    単純性尿路感染症は, 主治医判定で有効率83.3%(著効5例, 無効1例), UTI薬効評価基準に合致した4例は全例著効であった。複雑性尿路感染症は, 主治医判定もUTI薬効評価もできなかった1例を除いた4例は, いずれの判定も有効率75%(著効1例, 有効2例, 無効1例) であった。
    細菌学的効果は, Esherichia coli7株, Proteus mirabilis 1株およびKlebsiella pneumoniae 1株はすべて消失したが, Staphylococeus epidermidis 2株, Pseudomonas aeruginosa 1株は残存し, 菌消失率は75%であった。
    副作用および臨床検査値異常は1例も認められなかった。
    これらのことから, 本剤は1起炎菌が主にグラム陰性菌である尿路感染症に対して有用な薬剤と考えられた。
  • 富永 登志他
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 390-403
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口用セフェム剤, 7432-Sを尿路感染症に使用し, その効果と安全性を検討した。
    東京大学およびその関連病院泌尿器科を受診した急性単純性膀胱炎26例.急性単純性腎孟腎炎1例, 複雑性尿路感染症21例, 尿道炎3例, 前立腺炎1例を対象とした。これら症例のうち急性単純性膀胱炎9例と急性単純性腎孟腎炎1例および複雑性尿路感染症13例はUTI薬効評価基準 (第3版) によって評価しえた。
    急性単純性膀胱炎9例では著効7例, 有効2例で, 有効率100%であった。急性単純性腎孟腎炎1例は著効であった。複雑性尿路感染症13例では著効6例, 有効3例, 無効4例で有効率は69.2%であった。膿尿に対する効果は消失6例, 不変7例であり, 細菌尿に対する効果は陰性化8例, 改善1例, 菌交代3例, 不変1例であった。
    主治医判定によると急性単純性膀胱炎26例のうち著効18例, 有効5例で有効率8.5%であった。また複雑性尿路感染症21例では著効10例, 有効5例で, その有効率は71.4%であった。尿道炎の有効率は66.7%であった。
    副作用は, 軽度の下痢と頭重感を各1例認めたが, 投薬中止により無処置にて軽快した。
    このように7432-Sは尿路感染症の治療に安全で有効な薬剤であると思われた。
  • 高見澤 重教, 町田 豊平, 小野寺 昭一, 清田 浩, 後藤 博一, 三谷 比呂志, 川原 元
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 404-412
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口セフェム剤7432-Sの泌尿器科領域における有用性と安全性について, 基礎的・臨床的検討を行なった。
    1) 基礎的検討;臨床分離株176株 (Staphylococcus epdermidis 23株, Enterococcus faecalis 40株, Escherichia coli 54株, Serratia marcescens 22株, Citrobacter freundii10株, Pseudomonas aeruginosa 27株) に対する本剤のMICを, cefaclor (CCL), cephalexin (CEX), T-2525を対照薬として測定した。E.coli, C.freundiiに対しては, 7432-Sの抗菌力はT-2525とほぼ同等で, CCL, CEXより優れていた。
    またS.marcescensに対してはMIC80が12.5μg/mlで, 本剤が最も良い抗菌力を示した。しかしS.epidrmidis, E.faecalisの球菌およびP.aeruginosaに対してはいずれもMIC80が50μg/ml以上で, 他剤と同等ないしは劣り, その抗菌力は弱いものであった。
    2) 臨床的検討;対象とした疾患は急性単純性膀胱炎6例, 慢性複雑性膀胱炎11例, 慢性複雑性腎盂腎炎3例の計20症例であった。
    投与方法は1回100mgを1日3回経口投与し, 投与期間は原則として急性単純性膀胱炎では3日間, 複雑性尿路感染症では5日間とした。UTI薬効評価基準にしたがって, 薬効評価可能であったのは20例中急性単純性膀胱炎4例, 複雑性尿路感染症9例の13例であった。急性単純性膀胱炎では著効3例, 無効1例で有効率75%であった。複雑性尿路感染症に対しては著効1例, 有効3例, 無効5例で有効率44.4%であった。副作用は自覚的にも他覚的にも認められなかった。
  • 岡崎 武二郎, 町田 豊平, 小野寺 昭一, 清田 浩, 後藤 博一
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 413-418
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    1986年8月から1987年1月の6ヵ月間に東京都立台東病院泌尿器料の男子淋疾患者から分離された淋菌48株 (PPNG 4株, Non-PPNG 44株) を用いて, PCGと7432-Sの抗菌力を測定した。
    PCGのMICはPPNG4株で3.13~100μg/mlに, Non-PPNG 44株で0.0125~3.13μg/mlに労布していたが, 7432-SのMICはPPNGで0.006~0.0125μg/mlに, Non-PPNGで0.003≧~0.1μg/mlに分布し, PPNGに対してもNon-PPNGに対しても7432-SはPCGよりもはるかに強い抗菌力を示した。
    1986年11月から1987年1月までの3ヵ月間に都立台東病院泌尿器料および東京慈恵会医科大学泌尿器料を受診した24例の男子淋菌性尿道炎患者に7432-Sを投与した。
    淋菌性尿道炎24例に対する7432-Sの投与方法は, 1日300 mg投与が14例, 1日400 mg投与が10例であった。各投与群ともPPNG症例が1例ずつ含まれていたが, 無効例はなく, 有効率はともに100%であった。
    副作用は, 全例認められなかった。
  • 斉藤 功, 山本 隆司, 足立 卓三, 横沢 光博, 小野 一徳
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 419-426
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口用セフェム系抗生物質7432-Sについて淋菌に対する細菌学的検討と男子淋菌性尿道炎に対する治療効果の検討を行った。
    細菌学的検討では当科臨床保存48株に対する7432-SのMICは≦0.003~0.78μg/mlに分布し, MIC90は0.05μg/mlであった。β-lactamase産生株と非産生株との間に感受性の差異は認めなかった。
    淋菌性尿道炎14例に1日200mg, 400mgをそれぞれ分2で3日間経口投与した結果, 3日目と7日目における総合臨床効果はいずれも全例有効以上であった。
    PGUは7日目まで経過観察出来た7例中1例も認めなかった。
    副作用は14例中自他覚的副作用を認めた例は1例もなかった。
  • 川嶋 敏文, 田中 元章, 日原 徹, 中島 登, 宮北 英司, 勝岡 洋治, 岡田 敬司, 木下 英親, 松下 一男, 河村 信夫, 大越 ...
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 427-433
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    経口用セフェム系抗生物質7432-Sを泌尿器科領域の感染症に投与し, 臨床効果と安全性を検討した。7432-Sの投与法は1回100 mg (力価) を1日3回毎食後服用とした。本剤の対象症例は急性単純性膀胱炎11例, 複雑性尿路感染症4例, 非淋菌性尿遭炎1例の16例である。これらの総合臨床効果は, 主治医判定では, 急性単純性膀胱炎は著効4例, 有効5例, やや有効2例で有効率80%, 非淋菌姓尿道炎は有効1例, 複雑性尿路感染症は慢性前立腺床炎2例中無効2例, 慢性複雑性腎盂腎炎2例中有効2例で有効率50%であった。UTI薬効評価基準では急性単純性膀胱炎8例中著効2例, 有効6例で有効率100%であった。複雑性尿路感染症は3例中有効2例, 無効1例で有効率66.7%であった。副作用は1例も認めなかった。また, 臨床検査値の異常も初診時と投与終了時に実施した症例中1例も認めなかった。
  • 鈴木 惠三, 堀場 優樹, 長田 恵弘, 名出 頼男, 篠田 正幸, 柳岡 正範, 高梨 勝男
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 434-447
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口セフェム剤7432-Sを尿路e性器感染症に投与して以下の成績を得た。
    1. ヒト前立腺液 (PF) への移行濃度。200 mg投与1時間後の6検体のPF内濃度は3検体で平均0.06μg/ml, 3検体で<0.03μg/mlであった。
    2. 臨床的検討。1) 尿路感染症 (UTI)。急性単純性膀胱炎 (ASC) 7例ICは, 1日200 mg, 3日間で全例有効以上 (著効6, 有効1) であった。慢性複雑性尿路感染症 (C-CUTI) では, 1日200~600 mgで15例中9例が有効以上で60%の有効率であった。特にカテーテル留置症例では効果が劣った。2) 前立腺炎。慢性細菌性前立腺炎10例に1日600 mg, 7~20日間投与した。除菌効果は40%, 臨床的有効率は30%であった。
    3. 安全性。自覚的副作用として1例に軽い口唇・口内炎をみた。臨床検査値では1例GOT, GPTの上昇をみた。総体的に既存の類縁剤と比べて特筆すべき異常がなかった。
    4. 有用性。7432-SはASCとC-CUTIのうち, Pseudomonas aeruginosaやグラム陽性球菌 (GPC) による感染を除き, かつカテーテル非留置症例には有用性が高い。慢性細菌性前立腺炎には30%と有効率は低いが, Eseheriehia coliをはじめとするグラム陰性桿菌 (GNR) には有用性が高いものと思われた。
  • 磯松 幸成, 鈴木 裕志, 清水 保夫, 河田 幸道
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 448-454
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく合成された経口セフェム系抗生物質7432-Sに関して基礎的・臨床的検討を加え次の結果を得た。
    1. Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilisなどのグラム陰性桿菌に対してはCEX, CCLに比較し極めて強い抗菌力を有すうが, グラム陽性球菌に対しては他の二剤に比べても弱い抗菌力しか有しなかった。
    2. 経口投与後の血中濃度は2~3時間後にピークを有し, また尿中濃度は2~4時間尿にピークを有した。投与後10時間までの尿中回収率は48.3%であった。
    3. 複雑性尿路感染症16名において, 著効6例, 有効2例で総合臨床効果は50%であった。
  • 石原 哲, 江原 英俊, 多田 晃司, 山羽 正義, 斉藤 昭弘, 兼松 稔, 坂 義人, 河田 幸道, 原田 吉将, 藤本 佳則
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 455-465
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口用セフェム系抗生物質である7432-Sについて, 基礎的検討および, 泌尿器科領域における臨床的有効性, 安全性についての検討を行い, 以下の結論を得た。
    1. 基礎的検討: cefaclor, cephalexin, ampicillinの3薬剤を対照薬剤として, 尿路由来の臨床分離株, Escherichia coli, Citrobacter freundii, Klebsieltla pneumoniae, Enterobacter spp., Serratia marcescens, Serratia liquefaciens, Providencia rettgeri, Morganella morganiiの8菌種に対するMICを測定した。
    7432-Sはこれらの菌種に対し対照薬剤に比較し優れた抗菌力を示した。P. rettgeriに対しては全株のMICが0.39μg/ml以下であったほか, C. freundii, S. marcescens, M. morganiiに対してとくに優れた抗菌力を示した。
    2. 臨床的検討: 急性単純性膀胱炎4例に本剤を1回100 mg, 1日2~3回, 3日間投与し, UTI薬効評価基準で100%に著効を得た。複雑性尿路感染症19例に1回100 mg, 1日3回, 5日間投与した成績は, 50%の有効率であった。また, 男子淋菌性尿道炎3例に1回100 mg, 1日3回, 5日間投与したところ, 全例著効であった。
    副作用として1例に軟便・悪心をみたが軽度であり, 臨床検査値の異常は1例も認められず, 本剤は複雑性尿路感染症に対しても有効で安全な薬剤と思われた。
  • 荒川 創一他
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 466-477
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新経口用セフェム系抗生剤7432-Sの尿路感染症67例に対する臨床効果および安全性を検討し, 以下の結果を得た。
    (1) 急性単純性膀胱炎 (20例): 20例に, 1日200 mg分2, 3日間経口投与した。20例中, 主治医判定による有効率は90%であった。UTI薬効評価基準合致の18例では, 著効13例, 有効5例, 無効0例で, 有効率100%であった。除菌率は100%(21/21) であり, 投与後出現菌は12株認められた。
    (2) 複雑性尿路感染症 (47例): 47例に, 1日200 mg~600 mgを分2~3, 5日間経口投与した。主治医判定のおこなわれた45例中, 有効率は53%であった。UTI薬効評価基準合致の38例では, 著効14例, 有効12例, 無効12例で, 有効率68%であった。除菌率は82%(42/45) であり, 投与後出現菌は13株認められた。
    (3) 安全性 (67例): 自他覚的副作用は1例も認められなかった。3例で臨床検査値の異常変動 (好中球減少, GOT・GPT・ALP上昇, ALP・BUN上昇) が認められたが, いずれも軽度かつ一過性であった。
  • 岸 幹雄, 山田 大介, 那須 良次, 津川 昌也, 公文 裕巳, 大森 弘之, 近藤 捷嘉, 近藤 淳, 難波 克一, 赤枝 輝明
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 478-488
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    複雑性尿路感染症に対する7432-Sの基礎的ならびに臨床的検討を行った。
    1) 抗菌力: 尿路感染症由来教室保存株180株に対する本剤の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, cefaclor (CCL), cefadroxil (CDX), cephalexin (CEX), ampicillin (ABPC) と比較検討した。Enterococcus faeealisならびにStaphylococcus epidermidisでは, 本剤の抗菌力は弱く, 他剤に比し同等ないし劣っていた。しかし, Escheriehia coli, Kzebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Proteus vulgaris, Morganella merganiiにおいては, 他剤に比し極めて強い抗菌力を示し, Citrobacter sp., Enterobacter cleaeae, Enterobacter aerogenesにおいても, 約半数は耐性株であったが, 他剤に比し優れた抗菌力を示した。Serratia marcescensでは他剤がほとんど抗菌活性を示さなかったのに対し, 本剤では19株中15株が12.5μg/ml以下のMICを示した。Pseudomonas aeraginosaでは, 他剤に比し若干優れていたものの, その抗菌力は弱かった。
    2) 臨床効果: 複雑性尿路感染症に対し, 1日200 mgないし300 mg, 5日から7日間投与した。UTI薬効評価基準による総合臨床効果は著効8例, 有効7例, 無効7例で, 有効率68%であった。用量別にみると, 1日200 mg投与群で60%, 1日300 mg投与群で75%の有効率であった。副作用としては軽度の下痢を1例に認めたのみであり, 臨床検査値の異常変動は認めなかった。
  • 森山 浩之, 岩佐 嗣夫, 西本 憲治, 瀬尾 一史, 中野 博, 碓井 亜, 北野 太路
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 489-498
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しく開発された経口用セフェム系抗生物質である7432-Sを尿路感染症25例に対して使用し, その有用性を評価するための臨床的検討を行った。症例は急性単純性膀胱炎1例, 慢性複雑性尿路感染症24例であり, 投与方法は1回100 mg内服, 1日2~3回, 5日間投与した。
    1) 急性単純性膀胱炎は1例のみであったが, 著効であり, 有効率100%であった。
    2) 慢性複雑性尿路感染症に対する総合臨床効果は著効2例, 有効7例, 無効7例であり, 有効率56%であった。
    3) 細菌学的効果は起炎菌21株中16株が消失し, 細菌消失率は76%であった。
    4) 副作用は全例において認められず, 臨床検査値異常は1例にGOT, GPTの軽度上昇を, 他の1例において血清Kの低下を認めた。
  • 上間 健造, 香川 征, 黒川 一男, 今川 章夫, 藤村 宣夫
    1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 499-512
    発行日: 1989/11/30
    公開日: 2011/08/04
    ジャーナル フリー
    新しい経口用セフェム系抗生物質である7432-Sを, 急性単純性膀胱炎5例, 慢性複雑性尿路感染症47例, 尿道炎1例に対して。1回100または200 mg, 1日2~3回, 1~14日間経口投与し, 次の成績を得た。
    1) UTI薬効評価基準に合致した急性単純性膀胱炎4例では, 著効3例, 有効1例であり総合有効率は100%であった。慢性複雑性尿路感染症46例では, 著効30例, 有効6例, 無効10例で総合有効率は78%であった。
    2) 細菌学的効果は, 急性単純性膀胱炎では菌消失率75%, 慢性複雑性尿路感染症では57株中49株が消失し, 菌消失率は86%であった。
    3) 尿道炎1例の主治医判定はやや有効であった。
    4) 自他覚的副作用は1例に発疹が認められたが, 臨床検査値の異常変動は認あられなかった。
feedback
Top