CHEMOTHERAPY
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新しい経口セフェム系抗生物質, 7432-Sの泌尿器科領域感染症に対する臨床的検討
鈴木 惠三堀場 優樹長田 恵弘名出 頼男篠田 正幸柳岡 正範高梨 勝男
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キーワード: 7432-S (UTI), 前立腺炎
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1989 年 37 巻 Supplement1 号 p. 434-447

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抄録

新しい経口セフェム剤7432-Sを尿路e性器感染症に投与して以下の成績を得た。
1. ヒト前立腺液 (PF) への移行濃度。200 mg投与1時間後の6検体のPF内濃度は3検体で平均0.06μg/ml, 3検体で<0.03μg/mlであった。
2. 臨床的検討。1) 尿路感染症 (UTI)。急性単純性膀胱炎 (ASC) 7例ICは, 1日200 mg, 3日間で全例有効以上 (著効6, 有効1) であった。慢性複雑性尿路感染症 (C-CUTI) では, 1日200~600 mgで15例中9例が有効以上で60%の有効率であった。特にカテーテル留置症例では効果が劣った。2) 前立腺炎。慢性細菌性前立腺炎10例に1日600 mg, 7~20日間投与した。除菌効果は40%, 臨床的有効率は30%であった。
3. 安全性。自覚的副作用として1例に軽い口唇・口内炎をみた。臨床検査値では1例GOT, GPTの上昇をみた。総体的に既存の類縁剤と比べて特筆すべき異常がなかった。
4. 有用性。7432-SはASCとC-CUTIのうち, Pseudomonas aeruginosaやグラム陽性球菌 (GPC) による感染を除き, かつカテーテル非留置症例には有用性が高い。慢性細菌性前立腺炎には30%と有効率は低いが, Eseheriehia coliをはじめとするグラム陰性桿菌 (GNR) には有用性が高いものと思われた。

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© 社団法人日本化学療法学会
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