1990 年 38 巻 1 号 p. 46-51
臨床分離株のSeratia marcescensに対するいわゆる第3世代セフェム系薬と新鮮血清の協力的殺菌効果を検討した。
新鮮血清を培養液中に10%~30%の濃度に添加すると血清量に比例して菌の増殖が抑制された。また, 非働化血清あるいは特異的抗菌抗体の添加により, その増菌抑制効果は消失した。
10%と20%血清存在下における各薬剤1/2MICでの協力的殺菌効果はcefbuperazone (CBPZ)≧latamoxef (LMOX)≧ceftizoxime (CZX)≧cefotaxime (CTX)≧cefotemn (CTT)≧であった。CBPZ, LMOXは血清10%の添加において, CZX, CTXは血清20%の添加時に24時間後の再増殖を認めなかった。CTTは血清20%添加で4時間後には検出感度以下に減少するが8時間後には再増殖が認められた。培養液の補体価の変動をみると, 補体価の明らかな経時的な低下が認められた。また, 1/2MICの抗生物質のみと, さらに新鮮血清5%を添加して培養したとき, 再増殖後の菌のMICはいずれの場合でも上昇するが, 血清添加群で約2~3倍に上昇した。