CHEMOTHERAPY
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新キノロン4剤に対する呼吸器および尿路感染症起炎菌の耐性菌の増加に関する検酎
6施設での共同研究
永武 毅他
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1990 年 38 巻 4 号 p. 330-342

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抄録

最初の新キノロン系合成抗菌剤であるnorfloxacin (NFLX) が登場して5年が経過し, その後これまでに他の同系薬3剤が臨床に用いられているが, 最近我が国において新キノロン耐性菌の出現が注目されるようになった。そこで, 起炎菌決定法が同一の6施設の共同研究により, 新キノロン4剤の各種感染症起炎菌21菌種859菌株に対するMICを検討した.その結果, 呼吸器感染症ではPseudomonas aeruginosaStaphylococcus aureus て新キノロンに耐性を示す菌の増加がみられる一方で, Haemophilus influenzaeBranhamella catarrhalis には高い抗菌力が保たれていた。尿路感染症ではほとんどの菌種で耐性を示す株の増加がより顕著であり, S. aureus, Morganella morganii, Providencia rettgeri, Providencia stuartii, Proteus vulgaris, Pseudomonas aeruginosa, Acinetobacter での高度耐性株の増加が注目される結果を確認した。
尿路感染症起炎菌を中心とする本系統薬剤に対する耐性菌の増加のスピードは当初の予想をはるかに上回るものと結論される.

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© 社団法人日本化学療法学会
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