CHEMOTHERAPY
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Cefetamet pivoxilのin vitroおよびin vivo抗菌力について
西野 武志波多野 和男岩尾 英治大槻 雅子
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1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 41-52

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抄録

Cefetamet (CEMT) のプロドラッグであるcefetamet pivoxil (CEMT-PI) のin vitroおよびin vivo抗菌作用についてamoxicillin (AMPC), cefaclor (CCL), cefuroxime (CXM), cefixime (CFIX) およびcefpodoxime (CPDX) を比較薬としてin vitroはCEMT, in vivoはCEMT-PIを用いて検討した。CEMTはグラム陽性菌およびグラム陰性菌に幅広い抗菌スペクトルを有し, グラム陽性菌に対する抗菌力はCFIXと同様で, Staphylococcus aureusに対する抗菌力は弱いが, Streptocoocus属には良好な感受性を示した。グラム陰性菌にはCFIXやCPDXと同様の抗菌力を示し, AMPC, CCL, CXMに比べ優れていた。しかし, Pseudomonas aeruginosaにはすべての薬剤が抗菌力を示さなかった。臨床分離株に対する感受性でも同様の結果が得られた。CEMTは使用したいずれの菌種に対しても薬剤濃度に応じた殺菌作用を示した。位相差顕微鏡によりCEMTのSerratia marcescensに対する形態変化を観察したところ, 0.025μg/mlの濃度でfilamentの形成が, また0.78μg/ml以上の濃度でspheroplast様構造や溶菌像が観察された。マウス実験的腹腔内感染症に対するCEMT-PIの治療効果はStreptococcus pyogenesに対してはcefpodoxime proxetil (CPDX-PR;CPDXのプロドラッグ) とCFIXの中間的な効果を示した。Escherichia coli 2株, Klebsiella pneumoniaeに対してはCPDX-PRやCFIXに次ぐ治療効果を示し, CCLやcefuroxime axetil (CXM-AX; CXMのプロドラッグ) より優れていた。また, K. pneumoniaeを用いたマウスでの実験的呼吸器感染症に対してもCEMT-PIはCCLやCXM-AXに比べ良好な治療効果を示した。

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© 社団法人日本化学療法学会
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