CHEMOTHERAPY
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Cefetamet pivoxilの臨床第1相試験 (第2報)
中島 光好植松 俊彦金丸 光隆鈴木 孝幸嶋田 寿男辻井 敦
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1990 年 38 巻 Supplement1 号 p. 70-81

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抄録

健常成人男子被験者を対象とし, 新経口用エステル型セファロスポリン剤cefetamet pivoxil (CEMT-PI) の臨床第1相試験を実施し, 本剤の安全性と体内薬物動態を検討した。先に検討されたCEMT-PIの250mgと500mgの食後単回投与試験および500mg空腹時単回投与試験の成績を考慮し, 1,000mgの食後単回投与試験および1回500mg 1日3回 (食後) 7日間 (計19回) の連続投与試験を行った。安全性に関しては, 連続投与試験において4日目に2名に軟便が出現した以外, 理学的検査・臨床検査に異常を認めなかった。2名とも特に処置を施すことなく, 服薬中あるいは服薬終了翌日に症状は軽快した。1,000mg食後単回投与時の血漿中濃度のピーク到達時間 (Tmax) は3.58時間, 最高血漿中濃度 (Cmax) は7.40μg/ml, 血漿中濃度曲線下面積 (AUC) は54.6μg・h/mlおよび血漿中濃度半減期 (T1/2) は2.09時間であった。また, 尿中排泄は投与後24時間までに47.2%が排泄された。連続投与試験では最終投与後の体内薬物動態は単回投与時と酷似しており, 蓄積性はないものと考えられた。また, 腸内細菌叢におよぼす影響を検討したが, 好気性菌に対してはEscherichia coli, Klebsiella sp., Enterobacter cloacae等が減少し, 嫌気性菌に対しては総菌量の減少が認められたが, いずれも投与終了後速やかに回復した。以上の結果より, 本剤は臨床第2相試験に移行しても差し支えないと判断した。

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