1991 年 39 巻 2 号 p. 117-123
臨床分離Serratia marcescens 107株のうち31株 (29%) はウレアーゼ陽性であり, そのうち22株 (71%) は尿由来, 4株 (13%) は呼吸器由来であった。ウレアーゼ陽性株と陰性株について薬剤耐性菌の分離頻度を比較検討した結果, nalidixic acid (NA), norfloxacin (NFLX), tetracycline (TC) 耐性菌はそれぞれウレアーゼ陽性菌ては59%, 41%, 97%, 陰性菌では30%, 20%, 53%であり, ウレアーゼ陽性菌から有意に高く分離された。ウレアーゼ陽性菌の任意の5株について, エチジウムプロミド法にてウレアーゼ陰性菌の出現を試みたところ, 約10-3頻度で3株から陰性菌が得られた。また, 陰性菌の得られた3株の元株についてリファンピシン処理を行ったところ, 10-1~10-2頻度でウレアーゼ陰性菌が得られた。ウレアーゼ陰性変異株の得られた1株は, ウレアーゼ陰性化に伴い, V-P反応, ゼラチン液化能の微弱化, あるいは陰性化した変異株が含まれていた。