CHEMOTHERAPY
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各種の臨床分離菌のコロニー・レベルにおける生物学的性状と薬剤感受性
(I) 呼吸器感染症分離菌について
小林 寅詰長谷川 美幸西田 実五島 瑳智子
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1991 年 39 巻 2 号 p. 129-137

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抄録

呼吸器感染症の患者から分離され起炎菌と疑われたHaemophilus influenzae, Streptococcus Pneumoniae, Bzabamella catarrhalisおよびStaphylococcus aureusの多数株を試験菌として, それらの初代分離コロニーの生物学的性状を検討した。まず呼吸器感染症由来のHaemophilus influenzae 33株のうち, 7株はβ-lactamase産生コロニーと非産生コロニーが共存し, 両種コロニーの混合比は一定ではなかった。これらの混合株から分離したβ-lactamase産生コロニーによって構成される7株に対するampicillinのMICは12.5~25μg/ml, 非産生コロニーによって構成される7株に対するampicillinのMICは0.2~0.39μg/mlであった。また同様な結果は, Staphylococcus aureusについても認められた。Stzeptococcus pneumoniaeでは, 少ない頻度でオプトヒン耐性および感性コロニーが共存し, オプトヒン耐性株の大部分はampicillin, cefazolin, cefmetazoleおよびcefotaximeに耐性を示した。Branhamella catarbalisについては, 生物学的性状の異なるコロニーの存在は認められなかった。以上の結果から, 呼吸器感染症由来菌の分離後, 薬剤感受性を測定する場合, コロニーによってβ-lactamase産生能が異なり, 薬剤感受性がまったく異なることがあるので慎重な対応が必要である。また, このような事実が薬剤感受性と臨床結果との不一致の一因となる可能性がある。

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