CHEMOTHERAPY
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皮膚科領域における多剤耐性黄色ブドウ球菌の現況について (続報)
下江 敬生島越 利加子山田 琢阿部 能子神崎 寛子秋山 尚範荒田 次郎
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1991 年 39 巻 8 号 p. 782-790

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抄録

皮膚科領域より1989年4月から1990年4月までの黄色ブドウ球菌 (以下黄色ブ菌) 107株を分離し, 各種薬剤の感受性, coagulase型 (以下コ型), β-lactamase産生能 (ニトロセフィンプロス法) を測定し前回秋山らが報告した2年間と他科領域との比較を加え, 検討した。Methicillin耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) の分離頻度は従来の寒天平板希釈法では25.7%で1988年4月から1989年3月 (45.5%) に比べ減少しており1987年4月から1988年3月 (24.7%) とほぼ同じであった。Oxacillin (MPIPC) による微量液体希釈法によるMRSAは39.3%であった。入院患者からの分離頻度は48.1%(MPIPC) で外来患者からは36.2%であった。Methicillin (DMPPC) 以外の抗菌剤の耐性株もほぼ同様の動きであったが, cephaloridine (CER) やcefmetazole (CMZ) は耐性菌がやや増加した。Onoxacin (OFLX) の耐性菌は1987年~1988年は0%であったが今回の検討では4.7%であった。OFLX耐性菌はすべて入院患者よりの分離菌であった。コ型別試験では全体としてVII型が最も多かったがMRSAに関してはIV型が多く, IV型の92%がMRSAであった。Methicillin感受性黄色ブドウ球菌 (MSSA) ではVII型が多かった。疾患別では深在性膿皮症 (節,雖など) ではIV型が多く, したがってMRSAが多かった。β-lactamase産生能はニトロセフィンプロス法で30分後陽性29.9%, 24時間後に初めて陽性52.3%, 陰性が17.8%であった。

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© 社団法人日本化学療法学会
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