1991 年 39 巻 Supplement2 号 p. 92-96
新注射用セフェム剤cefepime (CFPM) の体液内濃度測定法について検討した。本剤の体液中濃度は, Morganella morganii IFO 3848を検定菌とする微生物学的定量法により, 低濃度まで感度良く定量することができた。血清中のCFPMはカップ法およびAgarwell法で0.02μg/ml, ディスク法で0.16μg/mlまで測定可能であった。血清中濃度の測定にはプール血清を標準液に用いることが望ましかった。CFPMは高速液体クロマトグラフィー (HPLC) によっても定量でき, ヒトにCFPMを静脈内投与したときの血清および尿試料をbioassayとHPLC法によって同時に測定した結果は, 高い相関性を示した。ヒトにCFPMを静脈内投与したときの尿試料をTLC-Bioautographyで検討した結果, CFPM以外の抗菌活性をもつスポットは検出されなかった。CFPMは弱酸性の溶液中で安定であり, 血清中では尿中よりやや不安定であったが,-20℃以下に保存すれば30日間安定であった。