CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
当院開設後2年間におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) の分離状況
黒木 春郎中村 明川上 浩
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 40 巻 11 号 p. 1301-1304

詳細
抄録

当院は千葉県下における小児医療の三次施設として, 1988年に開設された。開院後2年間に臨床材料より分離されたmethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) 株の性状に関して検討を加えた。1988年11月より1990年12月までに臨床材料より分離されたMRSA 86株を対象とした。MRSA86株の分離部位の内訳は, 膿33株, 疾22株, 尿12株, 耳漏7株, 血液2株, その他10株であった。coagulase型別では1型1株, II型68株, III型8株, IV型3株, II・III型6株とII型が79%を占めた。β-lactamase産生能は陽性が77株 (90%) であった。各薬剤の耐性化は著明であったが, minocycline (MINO), ofloxacin (OFLX), imipenem (IPM), netilmicin (NTL) は比較的良好な抗菌力を示した。各病棟別の分離状況では, ICU, NICU, 外科病棟で高い分離率が認められた。黄色ブドウ球菌のうちMRSAの占める割合は1989年から1990年にかけて39%から65%と増加し, 全体では54%であった。MRSAは小児科領域においても重要課題の1つであり, 今後, 個々の施設における対策だけではなく総体的な院内感染対策が必要になると思われた。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
次の記事
feedback
Top