CHEMOTHERAPY
Online ISSN : 1884-5894
Print ISSN : 0009-3165
ISSN-L : 0009-3165
メチシリン耐性Staphylococcus aureus によるマウス大腿筋感染に対するFK037の定常血漿中濃度における治療効果
波多野 和男若井 芳美渡辺 裕二下村 恭一松本 文夫桑原 章吾
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 42 巻 Supplement3 号 p. 46-54

詳細
抄録

我々はStaphylocoms auzeus によるマウス大腿筋内感染に対するFK037の治療効果において, 感染菌に対するMICと血漿中濃度の関係が治療効果に如何に反映するかを, FK037の血漿中濃度を一定に維持して治療を行う実験モデルを用い検討した。その結果, methicillin-susceptibleS. auzeus 2株に対してはFK037の血漿中濃度がMIC以下ではほとんど治療効果を示さなかったが, methicillin-resistant S. aureus (MRSA) 2株に対してはFK037の血漿中濃度がsub MICでも十分な治療効果を発揮した。また, MRSA感染に対して, MICの血漿中濃度で3時間治療後は, 血漿中濃度を1/4MICまで低下させて3時間治療しても, 血漿中濃度をMICに維持して6時間治療した時と同様の治療効果が認められた。さらに, FK037はMRSAに対して, 種々の血漿中濃度で6時間治療した後, 18時間治療を行わなくても菌の再増殖は大幅に抑制されたことから, 本剤のMRSAに対するpostantibiotic effect は長いと考えられた。
以上の結果から, FK037のMRSAに対するMIC80は25μg/mlであるが, FK037のヒトにおける血漿中濃度推移を考え合わせると, ヒトにおけるMRSA感染に対する治療効果が期待できる可能性が示唆された。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
前の記事 次の記事
feedback
Top