日本化学療法学会雑誌
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Balofloxacinの眼科領域感染症に対する臨床効果
安東 えい子岡村 良一鎌田 龍二大蔵 文子
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1995 年 43 巻 Supplement5 号 p. 659-661

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抄録

新しく開発されたキノロン系の経口用抗菌薬であるbalofloxacin (BLFX) について, 眼科領域感染症患者7例を対象に臨床的検討を実施した。BLFXは1回当たり100mgを1日2回, 6~9日間食後投与した。その結果, 麦粒腫4例中2例が著効, 2例が有効で, 瞼板腺炎2例は共に著効, 眼瞼炎1例は有効で, 7例全てが有効以上の臨床効果を示した。細菌検査は全例で実施され, そのうち5例より起炎菌と考えられるStaphylococcus epidermidis3株, Staphylococcus aureus1株およびcoagulase-negative staphylococci (CNS) 1株がそれぞれ1株ずつ分離されたが, 本剤投与により全て除菌された。これらの分離菌株のBLFXに対する感受性は0.05~0.2μg/mlに分布した。副作用として軽度の下痢が1例で発現したが, 特別の処置なしで継続投与が可能で, かつ投与終了とともにその症状が消失するものであった。他に副作用は発現しなかった。また, 臨床検査値の異常変動も発現しなかった。
以上の成績より, 本剤は安全かつ当科領域感染症に有用な新規経口用キノロン薬であると考えられた。

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