日本化学療法学会雑誌
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Pseudomonas aeruginosaに対するcefpirome, meropenemおよびimipenemの抗菌効果の比較
血中濃度動態における抗菌効果について
長谷川 裕美乙黒 一彦清水 喜八郎
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1997 年 45 巻 6 号 p. 418-424

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抄録

Pseudomoms aeruginosaに対するcephem系薬 (eefplrome [CPR]) とearbapenem系薬 (meropenem [MEPM], imipenem [IPM]) の抗菌効果を殺菌作用, Pestantibiotic effect (PAE), および, 薬剤前処理の有無によるsub-MICでの抗菌効果より比較検討し, 血中濃度動態での薬剤作用時の抗菌効果との関連性について検討した。
(1) P.aeruginasa臨床分離20株に対するMICは, MEPM, IPM, CPRの順に優れた感受性を示した。
(2) 臨床分離20株, ATCC 27853, PAO-1に対する3薬剤の2MC作用の短時間殺菌作用は, IPM>MEPM>CPRの順に強力であった。また, PAEは, CPRでは認めなかったが, MEPM, IPMで全株に認められ, IPMでより長い傾向を示した。
(3) 3薬剤のsub-MIC効果を同薬剤前処理の有無により比較すると, CPRでは両者に差を認めなかったが, MEPM, IPMでは前処理をすることにより.殺菌作用, 増殖抑制作用 (postantibiotlc sub-MIC effbct [PASME]) の増強が認められ, この傾向はIPMで箸明であった。
(4) 血中濃度動態で薬剤を単回投与した場合, CPRでは, time above-MICを過ぎ2~4時間後には再増殖を開始したが, MEPM, IPMでは, その後も殺菌作用, 増殖抑制作用を認めた。
以上より, P aeruginosaに対する殺菌効果は, 同しβ-lactam系薬でもcephem系薬とcarbapenem系薬では殺菌効果, PAEおよびPA SMEの有無の点で異なり, これらは実際の治療における投与量, 投与問隔を決定するうえで重要な因子となることが示唆された。

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