日本化学療法学会雑誌
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下顎骨への注射用β-ラクタム薬の移行性に関する検討
吉位 尚吉川 朋宏吉岡 歩古土井 春吾中尾 薫古森 孝英
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2000 年 48 巻 7 号 p. 535-540

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抄録

注射用抗菌薬の5薬剤 (piperacillin (PIPC): 50mg/kg;i. v., cefazolin (CEZ): 30mg/kg;i. v., cefmetazole: 16-22mg/kg;d.i.v., cefoperazone (CPZ): 20mg/kg;d.i.v,latamoxef (LMOX): 15-24mg/kg;d, i. v.) について単回投与後の下顎骨への移行性を検討した。その縮果, PIPC, CEZまたはcMz投与後の下顎骨組織内濃度は, 口腔感染症からの主な検出菌であるStreptococcus sp.に対する各薬剤のMIC90値を上回る良好な移行性が認められ, 下顎骨骨髄炎の治療や術後感染予防に対して有用な薬剤であると考えられた。しかし, CPZとLMOXについてはStreptococcus sp.に対するMIC90値に到達しない症例も多く認められたことから, 投与量に対する配慮が必要と思われた。

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