日本化学療法学会雑誌
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Helicobacter pyloriに対するclarithromycinのbreakpointと23S rRNA遺伝子のpoint mutationの相関について
小林 寅哲雑賀 威村岡 宏江井上 松久那須 勝
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2001 年 49 巻 4 号 p. 236-240

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抄録

臨床分離Helicobacter pylori 302株を用いてNational Committee for Clinical Laboratory Standards (NCCLS) のガイドラインM100-S10にしたがいclarithromycin (CAM) のMIC測定を行い, 同ガイドラインに掲載されたCAMのbreakpointと23S rRNA遺伝子のpoint mutationとの関連性について検討を行った。除菌成功例分離株262株中258株 (98.5%) のCAMMICは≤0.015~0.5μg/mLであり, 8μg/mL以上の株が4株 (1.5%) 認められた。一方, 除菌不成功例分離株40株のうち23株 (57.5%) は0.25μg/mL以下で, 4μg/mL以上の株は17株 (42.5%) 存在した。除菌成功例分離株で8μg/mL以上を示す4株すべてにおいて23SrRNA遺伝子の2,143番目のアデニン (A) のグアニン (G) への変異が認められ, 除菌不成功例のうちCAMのMICが4μg/mL以上を示す17株はA2143GあるいはA2142G変異を有していた。CAMのMICが32および64μg/mLの株にはA2142G変異を有する株が1株ずつ認められた。NCCLSの基準でSおよび1となる0.5μg/mL以下の株では23SrRNA遺伝子のpoint mutationは見られなかったが, Rとなる1μg/mL以上の株すべてにmutationが認められた。NCCLSによるCAMのbreakpointは, 23SrRNA遺伝子のpoint mutationの有無と一致した。

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