日本化学療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-5886
Print ISSN : 1340-7007
ISSN-L : 1340-7007
β-lactamase非産生ampicillin耐性Haemophilus influenzaeに対するcefditorenのin vitroおよびin vivo抗菌活性
清水 敦之金子 真紀石川 みどり三本木 祐美子鈴木 貴久高田 利彦
著者情報
キーワード: BLNAR, PBPs, 肺感染モデル
ジャーナル フリー

2003 年 51 巻 4 号 p. 161-167

詳細
抄録

臨床由来のβ-lactamase非産生ampicillin (ABPC) 耐性Haemophilus influenzae (BLNAR) に対するcefditoren (CDTR) のin vitro抗菌活性をcefeapene (CFPN), cefdinir (CFDN) およびcefaclor (CCL) と, BLNARによるマウス肺感染モデルに対するcefditoren pivoxil (CDTR-PI) の治療効果をcefcapene pivoxil (CFPN-PI), CFDNおよびlevofloxacin (LVFX) とそれぞれ比較した。125株のβ-lactamase非産生H. influenzaeに対するCDTR, CFPN, CFDN, CCLおよびABPCのMIC90値は, それぞれ0.25, 1, 4, 32および2μg/mLであり, CDTRの抗菌活性がもっとも強かった。また, 被験菌125株をABPCに対する感受性からMICが0.03-0.25μg/mLの群, 0.5-1μg/mLの群, および2-4μg/mLの群の3群に分け, 各群のCDTR, CFPN, CFDNおよびCCLに対する感受性を比較した。その結果, ABPCのMICが高い群ほど各抗菌薬のMICが高くなった。しかし, CDTRのMICの上昇は他経口セフェム薬3剤のMICの上昇に比較して小さく, 被験4剤のなかでもっとも強い抗菌活性を示した。CDTR-PIはBLNARによるマウス肺感染モデルに対してCDTRのin vitro抗菌活性を反映した治療効果を示し, その効果は投与量依存的であった。また, CDTR-PIは, CFPN-PI, CFDNまたはLVFXの治療効果が認められない感染モデルに対しても治療効果を示した。以上の結果から, CDTR-PIは, 他の抗菌薬では治療効果が期待できないようなBLNAR感染症に対しても治療効果が期待できる抗菌薬であることが示された。

著者関連情報
© 社団法人日本化学療法学会
次の記事
feedback
Top