日本化学療法学会雑誌
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成人急性歯性感染症原因菌に対するcefcapeneの抗菌力
金子 明寛佐々木 次郎
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2004 年 52 巻 8 号 p. 393-400

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抄録

経口抗菌薬の対象となる成人の歯科・口腔外科領域感染症の起炎菌を検討する目的で研究会を組織し, 細菌学的検討を行った。
(1) 全国の一次医療機関3施設, 二次医療機関9施設の計12施設において, 歯周組織炎84例, 顎炎51例, 歯冠周囲炎10例の計145例から331株が集積された。
(2) 次医療機関と二次医療機関の比較では, 好気性菌と嫌気性菌の比率, 起炎菌の形態, 細菌の分布をみると, 一次および二次医療機関の間に特別な差異は認められなかった。
(3) 菌種別分布では, 好気性菌においては, Streptococcus constellatusなどの口腔レンサ球菌が80.6%を吉めていた。嫌気性菌においては, peptutreptococcu属が44.3%と最も多く, 次いでPreuotella属が25.9%であった。
(4) 主要経口抗菌薬の4剤の抗菌力をMIC0.39μg/mLでの累積菌株の率でみると, AMPC (90%), CFPN (89%), CFDN (81%), CAM (76%) の順であった。
(5) 口腔レンサ球菌に対する感受性をcFPNの臨床治験時 (1990-1991年) と約10年後の今回の抗菌力を比較すると, MIC0.05μg/mL以下では, 今回のほうがやや劣化していたが, 臨床的効果の期待できるMICO.39μg/mLのレベルでは, 96.9%と97.4%で変わらなかった。
(6) CFPNの抗菌力は一次医療機関と二次医療機関ではほとんど差は認められなかった。

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