日本化学療法学会雑誌
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Methicillin-resistant Staphylococcus aureusに対するmeropenemと抗MRSA薬とのin vitro併用効果
土持 典子内田 勇二郎長崎 洋司江里口 芳裕前原 依子門脇 雅子下野 信行
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2007 年 55 巻 5 号 p. 363-367

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抄録
2003~2005年に九州大学病院で喀痰, 血液および尿検体より分離されたmethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) のなかでmeropenem (MEPM) のMICが32μg/mL以上の207株に対するMEPMと抗MRSA薬, すなわちvancomycin (VCM), teicoplanin (TEIC), linezolid (LZD), arbekacin (ABK) とのin vitroにおける併用効果をチェッカーボード法で比較検討した。抗MRSA薬単剤でのMICはVCM 0.5~4μg/mL, TEIC 0.5~8μg/mL, LZD 0.5~2μg/mLであり, ABKのMICは幅広く分布し0.25~16μg/mLであった。MEPMとVCM, MEPMとTEICとの併用では207株全株において相加以上の効果を示し, それぞれ156株 (75.4%), 205株 (99%) に相乗効果を示した。VCM, TEIC, LZDの3薬剤においてはMEPMとの併用で拮抗を示す株は認めなかったが, ABKにおいては22株 (10.6%) で拮抗作用が認められた。これらの株においてMEPMを含め, 他3つのカルバペネム系薬, imipenem, panipenem, biapenemとABKとの併用効果についてディスク拡散法で検討したところ, MEPM以外のカルバペネム系薬でも同様に拮抗作用を示した。MRSA治療において, 個々の抗MRSA薬の感受性を把握していることは重要であるが, 難治性の場合など併用効果に関しても把握しておく必要性がある。
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