地球環境
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低炭素社会に対応したエネルギー・資源循環システムのデザイン
戸川 卓哉藤井 実平野 勇二郎大西 悟
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2017 年 22 巻 2 号 p. 137-144

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抄録

資源・エネルギー循環システムの効率を向上し低炭素化することは持続可能な社会を構築するために不可欠な要素の一つである。そのためには、各街区群における資源・エネルギーの消費量を削減するとともに、可能な限り環境負荷の少ない方法で資源・エネルギーを供給できるシステムを構築する必要がある。本研究では、資源・エネルギーに関する施策効果を定量的に評価できる3つのモデル・フレームワークを開発し、地域特性に応じた資源・エネルギー循環システムを設計するアプローチを検討した。まず、産業都市における物質・エネルギーネットワークに関するシミュレーション分析より、CO2排出削減ポテンシャルの大きさという点で産業と周辺都市との連携に基づく物質循環や排熱利用ネットワークの形成が重要であることが示唆された。また、住宅・商業街区群を対象として、地域エネルギーシステムの最適計画支援フレームワークを用いて検討した場合、街区群の特性に応じたシステムを導入し、季節時間別の需給変動に応じた運転計画をデザインすることで、コスト削減とCO2削減を同時に実現できる可能性があることが示された。さらに、都市キャノピー・ビルエネルギー連成モデルを用いた分析から、屋上緑化策等による冷房用エネルギーの削減効果とそのCO2排出削減効果を定量的に提示した。以上の検討を通じて、廃棄物利用に関する都市と産業との連携や街区群スケールでの特性に応じたきめ細やかな技術導入・施策実施により、資源・エネルギー利用効率を現状よりも向上し、CO2排出量を削減できる余地があることが示された。

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© 2017一般社団法人国際環境研究協会
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