2018 年 23 巻 1-2 号 p. 69-78
山岳地では、登山道や施設の崩壊や老朽化に対して、山岳会や登山者の協力が不可欠となっている。各地で様々な取組が行われているが、その促進には、登山者の意識を踏まえた対策が必要である。本研究では、札幌市近郊の三角山、大雪山国立公園において行った意識調査から、ボランティア活動に対する認知度、今後の参加意欲について探った。両者において、現状の認知度は低いものの、登山者の参加意欲は高く、登山のついでに可能な作業や運搬が望まれていた。登山者の場所への愛着と参加意欲に関連があることも明らかとなった。さらに、北米のアディロンダック山岳会を事例として、一般の登山者の協力を得やすい仕組み作りについて考察した。登山者の経験やスキルの違いに対応したプログラム作り、管理者とボランティアの協働をコーディネートする組織が必要だと考えられた。