大気中の温室効果ガスの観測における航空機の利用について,国立環境研究所の地球環境研究センターが航空機モニタリングとして実施しているシベリア上空の観測と,日本航空が運航する民間航空機を利用した CONTRAIL プロジェクトについて紹介する。シベリアでの観測は 1990 年代の観測黎明期に始まりロシアならではの苦労も多くあったが,それゆえに今に至っても周辺には他の観測が存在せず,世界の温室効果ガス観測網の中で極めて重要な位置付けになっている。チャーター機を使ったシベリアでの観測は頻度に限界があったが,民間航空機は観測回数と観測範囲を飛躍的に向上することができる,世界に先駆けた研究プロジェクトである。本稿は両プロジェクトの歴史や成果の一部を簡潔にまとめたものである。