地球環境
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論文
将来の地球観測への期待
佐藤 啓市池田 恒平寺尾 有希夫山下 陽介町田 敏暢谷本 浩志
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2021 年 26 巻 1-2 号 p. 89-100

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抄録

現在既に進行している気候変動に対して人類としてできるだけ迅速に効果的な緩和策を実施するためには,大気中の二酸化炭素など長寿命の温室効果ガス(Greenhouse gas: GHG)の排出量を抑制するばかりでなく,メタン,オゾン,黒色炭素といった短寿命気候強制因子(Short-Lived Climate Forcers: SLCF)の大気中での循環や発生・消滅メカニズムを定量的に理解して排出量削減に結びつける必要がある。また,GHGの人為排出量はこれまで経済統計値が正しいとされて各国の報告にも使われてきたが,パリ協定で定められた排出削減目標の客観的検証の手段として,大都市でのGHG観測の必要性が近年急速に高まっている。本章では将来の地球観測への期待としてこれら2つの観測研究に関連して,SLCFの観測,SLCFのモデル研究,大都市GHGの観測,大都市GHG のモデル研究の4つの視点から解説を行った。

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© 2021 一般社団法人国際環境研究協会
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