2022 年 27 巻 1 号 p. 11-18
本稿では,国内におけるプラスチックの物質フローや,廃プラスチックのリサイクルやエネルギー回収による二酸化炭素排出の削減効果のライフサイクル評価(LCA)といったシステム的な分析をもとに,脱炭素社会の実現と協調したプラスチック資源循環の可能性について考察する。まず,我が国のプラスチック資源循環へのサーキュラーエコノミーの理念の適応性について述べる。次に,LCA の評価事例に基づいて,廃プラスチックの循環的利用による低炭素化への貢献について議論する。さらに,社会や産業全体の目標が低炭素から脱炭素へ深化したことによって,プラスチック資源循環の意義についての考え方にも変化が求められることを指摘し,システム的な分析が果たす役割について検討する。