2022 年 27 巻 1 号 p. 19-30
本研究では,地方自治体スケールを対象に,広域的な融通ネットワークや時間変動を考慮した需給バランス評価を踏まえた再生可能エネルギーを中心とした脱炭素型エネルギーシステムの実現可能性検討を行った。2015年度の電力需要と導入ポテンシャルをもとに再生可能エネルギーの地域間融通ネットワークを試設計した結果,東日本では北海道から東北を経由して関東へ向かう流れとなり,西日本では導入ポテンシャルの大きい地域と近傍の電力需要が超過している地域がグループを形成することがわかった。つぎにこの結果をもとに設定した一群の地域において,毎時単位でのバランスを確保しつつ再生可能エネルギー導入量を拡大した電力需給の姿を検討した結果,地域間融通を想定することで再生可能エネルギー利用量は増加するが,さらなる導入にはディマンドレスポンスなど電力需要を供給に合わせて変化させる技術等との組み合わせが必要であることが示唆された。