地球環境
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論文
遺伝子発現解析手法を用いたブナのストレス評価
武田 麻由子丸山 朋見青野 光子
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2023 年 27 巻 3 号 p. 183-190

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抄録

神奈川県北西部に位置する丹沢山地において衰退が顕著となっている日本ブナについて,効果的な再生施策の実施のため,ブナが受けているストレスを評価することを目的に,ブナ葉を用いた遺伝子発現解析手法を検討した。酸化ストレス及び水ストレス(土壌乾燥化)を曝露した日本ブナの葉を用いて遺伝子発現解析を実施し,遺伝子発現の差異について検討した。酸化ストレスにより活性化される活性酸素消去系,エチレン生合成系及びエチレン応答について,水ストレスでは一部を除き,これらの遺伝子の発現量は上昇しなかった。水ストレスにより活性化される遺伝子群について,ブナ以外の植物の遺伝子配列から相同性解析を実施した。その結果,ABA(アブシジン酸)非依存性経路に係るDREB2F の特異的primer セットの作成に成功し,水ストレスで発現量が上昇していることを明らかにした。

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© 2022 一般社団法人国際環境研究協会
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