災害や事故に伴う化学物質等の流出やその拡散は,環境及び人の健康への懸念を引き起こす。特に事故発生直後には,限られた測定データをもとに,流出した化学物質等の時空間拡散状況を迅速かつ的確に把握することが重要である。また,化学物質等の健康への影響に関する情報を収集し,適切な対応を検討することも求められる。本研究では,そのような場面における行政等での初期対応を支援する,化学物質リスク管理のための迅速対応統合プラットフォームの開発を検討した。特に,地図やグラフで結果を容易に可視化できるGIS 機能を含め,大気中及び河川における化学物質濃度の分布・経時変化,化学物質の健康影響に関する情報の迅速な出力を行うツールを検討した。本プラットフォームで表示される推測結果は必ずしも正確なものでなく,網羅された情報でないことに注意は必要であるが,事故発生時の実態把握等に有効活用できるものと考えられる。