日本において制定されている大気環境に対する法律は,そのほとんどが年間平均のような定常時の大気濃度に関するものである。技術の発展と共に工場等で設置される設備の安全性能が劇的に向上している一方で,それに頼るがために自然災害や事故が発生した場合に大気へ放出される有害化学物質への対応が定まっていない現状である。実際に発災後は迅速な対応が求められるが,悪臭防止法のような一部の対応を除き,何を基準にどのように対処すべきかを体系化された指針等がなく,対策が不十分となり,人への健康被害が拡大する恐れがある。本稿では海外における非定常時の対策事例を紹介すると共に,我が国において実施すべきスクリーニング及び常時監視の概要,さらにそれらに適する装置の提案を行う。