2025 年 30 巻 2 号 p. 155-166
プラスチックごみによる海洋汚染は、国際社会で対処すべき喫緊の環境問題である。環境研究総合推進費1-2204(2022年度~2024年度)では、陸域・沿岸域・海洋における5mm未満のマイクロプラスチック(MP)を対象に、汚染実態及び生物影響の評価を通じて、生態系や生物多様性へのリスクを明らかにし、優先的に詳細評価すべきMPの特定を目指した。汚染実態把握では、海洋に流出したMPの動態を調査し、材質や粒子サイズにより挙動が異なること、また水底堆積物において高濃度となるホットスポットが形成される場合があることが判明した。生物影響評価では、MPを摂取した生物に対する毒性影響を調査し、材質・添加剤・劣化状態に応じて多様な毒性作用が生じることが明らかとなった。さらに、生態リスク評価では、ポリオレフィン系破片状MP及び自動車タイヤ由来の路面摩耗粉じんが、一部地域の水底堆積物において生物や生態系に悪影響を及ぼす可能性が示唆された。