仏教において輪廻転生を如何に理解するかは重要な問題である。この問題を原始仏教時代には業力の面から解釈していたが、部派仏教時代になると中有説が主張されて、輪廻転生論はより深く研究される事となった。然し中有説の本来的淵源は修行論の上での五種不還の中に説かれる中般涅槃に存するのである。この中般涅槃説に印度古来のガンダルバ神話が結びついて、仏教思想の上で独自の発展を遂げたものである。仏教以外の数論派等の微細身とも比較を行いつつ、仏教思想における中有説の独自性を追求し、中有説の宗教的意義にも説き及ぶ事とする。