智山学報
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弘法大師の成仏思想についての一考察(2)
小林 慶昭
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1990 年 39 巻 p. 79-93

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抄録

弘法大師によって完成された即身成仏思想は、真言密教の教理における最重要点のひとつであり、また顕密対弁思想における論点のひとつであった。この即身成仏思想は、『菩提心論』に「唯真言法中、即身成仏故。是故説三摩地於諸教中。闕而不書。」と説かれるように、真言独自の思想であると思われがちであるが、伝教大師もまた即身成仏を説いておられた。今回は、金胎両部の経典等を典拠とする弘法大師の即身成仏思想と、『法華経』『無量義経』を典拠とする竜女成仏を基礎とした伝教大師の即身成仏思想とを比較考察し、両者の相違点を明らかにすることによって、弘法大師の成仏思想の理解のための一手段としようと思う。

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1990 智山学報
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