智山学報
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Anandagarbhaの灌頂論
桜井 宗信
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1990 年 39 巻 p. A15-A44

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抄録

本稿は,瑜伽タントラ階梯を代表する学僧Anandagarbhaの主著Tattvaloka, Sarvavajrodayaを資料として彼の設定した灌頂次第の構造を明らかにし,もってインド密教儀礼の解明の一助とすることを目的とする。彼は灌頂に与かることの出来る者を仏教徒に限定し,更に受者が受持している戒に応じて2種の次第を設ける。即ち五戒のみを守り世間的な悉地の獲得を求める者には「弟子の灌頂(論文中ではBu stonに従い明灌頂という術語を用いる)」を,<五部族の三昧耶>など密教に特有の戒を得た者には更に「阿闍梨灌頂」を各々授けるとする。また阿闍梨灌頂としては,含まれる所作に広略のある「略・中・広・最広」の4次第を別立している。

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1990 智山学報
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