智山学報
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明恵の五大願について
ー『仏光観次第』を中心としてー
小宮 俊海
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2016 年 65 巻 p. 501-514

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抄録

    京都栂尾高山寺の中興開山である明恵房高弁(1173~1232)(以下、明恵)は、鎌倉時代前期において華厳教学の興隆に努めたが、自身の実践体系は光明真言信仰の勃興に象徴されるように多分に密教的要素も含まれていた(櫛田良洪[1964])。明恵がその実践に光明真言を重用する理由は、自身の華厳教学と矛盾なくその修養に相応しいものと考えたためである。
 本稿では、明恵の密教観を探求する観点から、その著作にみられる五大願について検討したい。またこれらを通し、合わせて明恵の煩悩観を考察する一助となればと考える。
 通常、金剛界立の密教修法次第において発願として登場する五大願であるが、その成立には顕教で登場する四弘誓願との関係が従来から指摘されている。明恵の五大願においても重要と考えられるためそれらも視野にみていきたい。

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