抄録
クロマツによる海岸防災林の造成では,一般に10,000本/haの密植が行われるが,その後の管理が十分に行われず多くの海岸林で過密化が進んでいる。造成・管理にかかる労力や経費を削減する有効な手段の一つとして低密度植栽が考えられるため,2019年に植栽密度の異なる試験区(1,500本/ha,3,000本/ha,5,000本/ha)を設け,4成長期後までの生存率及び樹高,根元径を調査した。生存率については植栽密度による差は無く,樹高成長量は1,500本/ha植栽でも5,000本/ha植栽に劣らなかった。根元径成長量は1,500本/ha植栽で有意に大きかった。十分な防風対策下の海岸ではクロマツを1,500本/haで低密度植栽しても,初期成長に問題は無いと考えられた。