抄録
林業の採算性を改善する手段のひとつとして早生樹造林が近年再び注目され,既存の主要造林樹種より初期成長に優れ造林コストが削減されることや,輪伐期の短縮などが期待されている。しかし,現在早生樹候補として挙げられている樹種のうち寒冷地で生育可能と考えられる樹種は限られ,現地での適応性に関する知見が不足している。そのため本研究では,寒冷地での造林事例もある中国南部原産のコウヨウザンを対象として,長野県中部においてその初期成長等をカラマツと比較した。その結果,コウヨウザンは苗木産地と植栽地の開葉時期が異なったため霜害を受けやすく生存率が低下したこと,形状比が高く自立しない苗木が多かったため樹高成長が停滞したこと等の影響を受け,4成長期後にはカラマツと比較して樹高と根元径に1成長期分の遅れが生じた。