理学療法学Supplement
Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 212
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理学療法基礎系
身長と足底圧中心点および体幹前傾角度がFunctional Reach testに与える影響
*前岡 浩金井 秀作坂口 顕鵜崎 智史川原 由紀渡部 幸喜沖 貞明
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抄録
【はじめに】Functional Reach test(以下FRTと略記)とは動的立位バランスの指標となる可能性があるといわれている。一方、FRTの距離と動的立位バランスとの関連性を積極的に支持しない報告もある。
 そこで今回、FRT距離に影響を与えていると考えた身長、足底圧中心点(以下COPと略記)の前後長、体幹前傾角度の関係を検証したので、ここに報告する。
【対象】下肢、体幹に問題のない健常成人25名を対象とした。平均年齢40.8±11.4歳、平均身長160.1±7.7cmであった。
【方法】足底にはF-scanを装着し、自然立位にて左上肢により前方にリーチを行わせた。その際、リーチを行う左上肢は床面に水平になるよう指示し、姿勢保持可能な限界まで前方にリーチを行わせた。測定時間は6秒間とし、同時に矢状面よりビデオ撮影を行った。データ採取に関して、COPの前後長はF-scanにて、FRT距離はメジャーを用い、体幹前傾角度は床面に対する垂直軸と肩、股関節を結んだ線とのなす角にて測定した。なお、それぞれの相関についてPearsonの相関係数を用いて検定した。
【結果】FRT距離と身長、COPの前後長には相関がみられなかった。FRT距離と体幹前傾角度では、有意な相関(r=0.69、P<0.01)がみられた。また左右によるCOP前後長の比較でも、有意な相関(r=0.939、P<0.01)がみられた。
【考察】今回我々は、FRT距離に影響を与える要因として、身長が高いほど、COPの前後長が長いほど、体幹前傾角度が大きいほどFRT距離は延長するのではないかとそれぞれ仮説を立てた。しかし、結果はFRT距離と体幹前傾角度にのみ有意差を認めた。Erica Jonssonらは、FRTはCOPの変位以上に体幹の前方への動きに影響を受けると報告している(J Rehabil Med 2002)。また対馬らは、身長と踵上げFRTのFRT距離とに有意な相関を示したが、高い相関にあるとはいえないと報告し、またFRT距離と重心移動にも高い相関関係があるとはいえないとも報告している(理学療法学、2001)。これらの報告と我々の結果も類似したものとなった。これは、FRT距離に対して、諸家の報告と比較しCOP前後長が全く影響を与えていないとは言いきれないが、それ以上に体幹前傾つまり股関節の動きが大きく関係しており、股関節回りの方略によると思われる。
 このことから、前方へリーチを行うようなADL練習を行う際には、重心移動を促すより、体幹前傾を促す練習を行うほうがより効率的に理学療法を遂行できるのではないかと考えられる。しかし、今回は足関節周囲筋、特に足指屈筋群の影響を考慮しなかったこと、FRT距離と重心移動には高くはないが相関関係が存在するとの報告があることを考慮して、今後検討の必要があると考える。
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© 2004 日本理学療法士協会
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