2007 年 2007 巻 254 号 p. 241-262
副詞“〓”の機能は多く、時間的継続や程度の高低、意外性などを表すとされるが、従来の研究において“〓”の各意味間の関連性を指摘したものは多くなく、“〓”の生起の有無に関係なく文そのものが表す意味を“〓”の意味と捉えているものも少なくない。本稿は認知言語学のベースとプロファイルの概念を用いて、動詞“〓huan”が描く空間的な回帰の軌跡をもとに、副詞“〓”の核心的意味の分析および意味拡張の動機づけを試みる。本稿は、副詞“〓”も回帰の軌跡を描き、その核心的意味は「事態の傾きに反する原状回帰」であると考える。“〓”自身が複数の意味をそなえているわけではなく、原状回帰が文脈と結びつくことにより、文全体にさまざまな解釈が与えられるのである。