抄録
原子・分子の軌道関数の形状を把握するための3D図形表示システムMOOTICを開発している.今回は,分子を構成する原子の位置に適当な原子軌道関数(ガウス型軌道関数)を配置したあと,原子核の位置の変化にともなう原子軌道間の重なりを観察できる機能を加えた.このとき,原子軌道関数の等値面表示では「軌道の標準的な形状」を描画する-閉曲面の内部に電子の90%(たとえば)が含まれる面を等値面表示する-手法を提案する.このシステムを用いて,遷移金属を含む2原子分子に対して,軌道の重なりと平衡核間距離の関係,それを通して化学結合の性質の判断が可能か否かを模索することを試みる.