抄録
従来の立体化学では,対称・不斉・擬不斉とキラリティー・アキララリティーとの相異がうまく説明できない.さらに従来の立体化学では,対称・不斉・擬不斉をステレオジェニシティー・非ステレオジェニシティーなる概念に改変して,とりあえずの解決を図っている.この改変は数学的な裏づけのないその場しのぎの対処なので,今度は,ステレオジェニシティー・非ステレオジェニシティーとキラリティー・アキララリティーとの相異の説明が,うまくゆかないという事態になっている.演者の提案しているRS-立体異性群とその図形的表現であるステレオイソグラム法により,RS-ステレオジェニシティー・RS-非ステレオジェニシティーおよびキラリティー・アキララリティーを統合的に導出することができ,両者の関係を明らかにすることができる.