抄録
マグネシウム負極を用いた二次電池は、資源、エネルギー密度などの点でメリットが大きく、リチウムイオン電池に代わるものとして期待されている。マグネシウム負極の作製に関してはグリニャール試薬を含むエーテル中で金属マグネシウムを析出させる方法が提唱されているが、詳細な機構は解明されていない。そこで本研究では量子化学計算と情報化学的手法により、金属マグネシウムを析出させるのに適したグリニャール試薬の解離機構の検討を行った。その目的で様々な側鎖を持つグリニャール試薬のTHF中のイオン伝導度を目的変数とし、マグネシウムの解離に影響すると考えられる性質を説明変数とするPLS回帰分析を行った。更に得られた相関式を構成する変数に注目してグリニャール試薬の解離機構を検討した。